文春オンライン

琴光喜、長嶋一茂、サッカー元ブラジル代表ロナウド…アスリートも襲われる強烈な痛み! 恐ろしすぎる「痛風」の世界

『痛風の朝』より

2021/09/18
note

怪物の痛風

 痛風で苦しむ元アスリートは多いが、まれに現役選手でも痛風を発症することがある。

 かつて、レアル・マドリードに所属したブラジル代表ロナウド(クリロナとは別人。日韓ワールドカップでは前髪だけを残した大五郎カットで話題に)が痛風で練習を欠席したというニュースが流れた。10年以上前のことだが、トップアスリートが痛風で練習を休むという事実に驚いた。

 サッカーといえば、ボールを扱う華麗なテクニックやスーパーゴールばかりに目がいくが、数メートル~数十メートルの全力疾走を試合中に何度も繰り返す、短距離走の要素を多分に含む競技でもある。

ADVERTISEMENT

 スプリントはすなわち無酸素運動である。また、対人のぶつかりあい、格闘技的要素も多く含むため、筋力づくりを目的に筋トレに励みタンパク質を意識的に摂取する選手も多い。

 つまり、痛風と相性がいい。

 勝手な想像だが、サッカー界は痛風の宝庫だと睨んでいるので、これから先、優秀な痛風家を輩出するに違いない。現役選手の告白が待たれる。

 ちなみに先述のロナウドは「怪物」の異名を持ち、ブラジル代表でも不動のエースに君臨し続けるほどの才能の持ち主だったが、現役時代から節制は苦手だったようで、引退後はぶくぶくと太ってしまったから、やはり生活の乱れと痛風は紙一重であるといえそうだ。

ちゃんこが生命線?

 痛風とスポーツ選手の相性の良さはサッカーに限らない。

 アスリート界の痛風銀座といえば、やはり相撲だろう。両国を歩けば痛風にぶつかるといったら怒られるかしら。

 医学関連雑誌にこんな記述を見つけた。

「昭和39年から30年以上相撲診療所の医師として力士の健康管理をされていた林盈六先生の著作によれば、力士の疾患として多いのは高血圧、糖尿病、痛風などのいわゆる生活習慣病で、一般男性に比べ明らかに多い」(「モダンメディア」2019年7月号より)

 相撲は体が大きい方が有利ということで、新弟子の頃から、体重を増やせと大量のエネルギー摂取を強制される。昭和51年の幕内力士の平均体重が129kgであったのに対し、現在は160kg台を推移。大型化ならぬ肥満化が進行しているが、その原因は食事だ。

 朝稽古があるため朝ご飯を食べないので、1日2食だが、昼と夜だけではやはり足りず、夜食は当たり前。酒を飲んで〆のラーメンを梯子することもあるという。これでは痛風にならないわけがない。

 いわゆるタニマチや後援会との会食も多く、彼らは力士の豪快な食べっぷりを見たいわけで、その期待に応え続けるのも楽ではないだろう。