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琴光喜、長嶋一茂、サッカー元ブラジル代表ロナウド…アスリートも襲われる強烈な痛み! 恐ろしすぎる「痛風」の世界

『痛風の朝』より

2021/09/18

「贅沢病」ともいわれ、暴飲暴食、だらしない生活の産物であるイメージの根強い「痛風」。それだけに、身体が資本といえる「アスリート」たちの中に、痛風に悩む人たちがいると聞くと意外に思われるかもしれない。しかし、アスリートでも痛風に悩まされることは珍しくない……。

 キンマサタカ氏が編者を務め、「痛風仲間=痛友(つうゆう)」の体験談をまとめた書籍『痛風の朝』(本の雑誌社)の一部を抜粋し、紹介する。

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痛風は暴飲暴食、だらしない生活の産物

 この本を編集するにあたり、元トップアスリートに声をかけた。彼がYouTube の番組内で「痛風である」とカミングアウトしていることを人伝に知り、インタビューをお願いできないかとオファーしたのだ。

 マネジメント事務所からはすぐに返事があり、結果から言えばすげなく断られた。

「痛風を売りにするつもりはない」というのが理由だったが、私は納得のいく回答だと感じた。元アスリートが痛風だと知って、いいイメージを抱くことはないだろう。むしろマイナスである。

 痛風は贅沢病であり、暴飲暴食、だらしない生活の産物であると思われることが多い。生活習慣病である痛風は、アスリートの真逆にある存在と言ってもいい。

 選手の輝かしい実績さえも否定してしまうのであれば、痛風キャリアであることを隠す気持ちもよくわかる。

©iStock.com

体育会の暴飲暴食文化が体に刻まれ、発症

 かくいう私も大学時代はアメリカンフットボールに打ち込んでいた過去を持つ。身体も小さく大した選手ではなかったが、体育会の暴飲暴食文化はしっかりと体に刻まれた。ご飯は大盛り、酒は浴びるように。社会人になってからも、軽い運動と草アメフトは続けていたから、その生活を続けても大した問題はなかった。

 最初に痛風を発症したのが32歳。40歳を目前に草アメフトを引退してからは、一気に体にしわ寄せが来た。

 発作が出ると痛いから、どうにかしたいとその場では思う。だが、脳髄に刻まれた体育会タトゥーは鮮烈で、食事や酒の量を減らそうと思っても、目の前にすると我慢ができない。

 ジムに通ったが、鍛える目的を途中で見失い、気がついたら行かなくなってしまった。パーソナルトレーニングもドSなトレーナーのハードメニューに嫌気がさしてそっとフェードアウトした。

 最後の手段と、朝のジョギングを始めたところ、「痛風」の発作が常態化した。

 たまには体を動かそうと、息子に混じってフットサルをやったら、炎天下の脱水症状がたたり、翌朝両足に発症した。この時の発作は本当に辛かった。前世の業ではないかと思うほどの強烈な痛みに、私はベッドの上で涙を流した。患部が痛くて寝返りができないから、上を向いたまま天井を見つめていたら涙が頬を伝った。