2017年に105歳で亡くなった日野原重明さんは“肉好き”だったが、「肉を食べる人は長生きする」と、専門家も太鼓判を押す。

 しかし、どんな肉でもいいわけではない。ベスト&ワーストランキングから栄養素の効果を高める食べ合わせ例まで。「肉ガイド」の決定版!

出典:『老けない最強食』(文春MOOK)

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高齢でも活躍する著名人が食事に取り入れた“肉”

“老けない”ためには「肉」が欠かせない。

 高齢になってもエネルギーが衰えずに活躍する著名人、たとえば作家の瀬戸内寂聴氏や脚本家の橋田壽賀子氏、2017年7月に死去した日野原重明医師などは”肉好き”として知られる。

日野原重明医師 ©文藝春秋

 日野原医師と親交の深かった女子栄養大学副学長の香川靖雄氏はこう話す。

「日野原先生が105歳という長寿で、しかも亡くなる直前まで健康寿命を保てたことは、食事の影響が大きいでしょう。あの世代は、100歳に達する確率はわずか0.5%。まして過去に腎炎や肺結核などの重大な病を患った日野原先生のような人は、平均して短命です。ご子息の夫人、日野原眞紀さんが作る献立には週2回、一口ステーキやヒレ肉が取り入れられていました」

日本人は肉を食べて寿命を延ばした

 長寿とは、「老化の進みが遅い」ということでもある。

 今から100年前の日本では、大豆などの植物性タンパク質を摂取するばかりで、平均寿命は30代後半。欧米諸国に比べて10歳以上の差を付けられていたのだ。それが肉などの動物性タンパク質の摂取量増加とともに、日本人の平均寿命は1980年代、世界トップクラスに達する。

 日本ポリフェノール学会理事長で、日本臨床栄養学会監事でもある板倉弘重医師(品川イーストワンメディカルクリニック院長)は「タンパク質は筋肉や臓器をつくるもととなる栄養素」と話す。

「肉が足りなくなると、筋肉や免疫機能の低下、アミノ酸不足が引き起こす神経性症状などが起こり、老化に拍車がかかります。筋肉が維持できないということは、若さを保つどころか、要介護状態に陥ってしまいます。人生の後半、自然に体の脂肪が減ってきたら、それは老化の始まり。

 肉を食べれば食べるほどいいわけではないですが、特に高齢者は植物性と同等に動物性タンパク質を摂取することを意識してほしい」

 中年やもっと若い世代でも肉を摂らなくなると、肌が乾燥したり、血色が悪くなるなど、見た目が老ける可能性がある。

 肉に含まれるタンパク質は消化管でアミノ酸などに分解されて肝臓に送られ、全身に運ばれる。各組織に送られたアミノ酸は、筋肉や血液、皮膚、髪の毛など、それぞれの組織の構成成分になる。タンパク質が不足すると新陳代謝がスムーズに行かなくなるのだ。