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 肉の生産地や飼料によっても、”肉の質”に差がつく。たとえば老けない肉7位の「牛もも」は、国産と輸入品で脂質量に差がある。同じ部位でも、国産の脂質量のほうが多いのだ。この理由について、「飼料の違い」と話す専門家がいる。牧草にプラスして穀物を与えると、脂肪を体内に蓄えやすくなるという。

注目すべきはスペインの「イベリコ豚」

 最近は、豚に餌としてドングリや植物などを食べさせるスペイン産の「イベリコ豚」が人気だ。

スペインのイベリコ豚 ©iStock.com

 肉に含まれる脂肪酸で一番多いのは「一価不飽和脂肪酸」だが、これはオリーブ油に多く含まれる脂肪酸。次に乳脂肪に豊富な「飽和脂肪酸」が多く、魚油や植物油に多い「多価不飽和脂肪酸」が少量含まれる。それぞれの割合は5対4対1が一般的だ。

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「イベリコ豚には、悪玉コレステロールを低下させたり、肌や髪の保湿効果があったりするオレイン酸(一価不飽和脂肪酸)が一般的な肉より多く含まれています。そのほか抗酸化作用の高いビタミンEやエネルギー産生や代謝に関わるビタミンB群が豊富で、血管や肌など老化防止に働きかけます」(望月氏)

生産地や飼育方法がわかる肉を

 イベリコ豚とは逆に、飼育に使われた餌が肉の質に悪影響を及ぼすことがある。ほかの動物の餌を混ぜることで、病気の発症原因になる場合があるからだ。

「たとえば飼料に肉骨粉を混ぜたため、プリオン病に感染した肉骨が混入し、プリオン病が発生した例もあります。また、高級品とされる『霜降り牛肉』は、牛にビタミンA欠乏をおこすことで筋肉に脂肪を散らばらせる飼育方法もある。必ずしも健康な牛で良質な脂肪とは限らないのです。そのため、やはりタンパク質含有量が多い肉のほうが人の体に安心といえますし、さらに生産地や飼育方法がわかる肉がいいと言えるのです」(板倉医師)

 買い物の際の選び方にもコツがある。

「食品トレー内の赤い汁(ドリップ)が少ないものを選びましょう。ドリップは細胞が壊れ、肉の中の水分にタンパク質が混じったものですから、ドリップは肉の劣化を意味します」(五十嵐氏)