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 遠方の百貨店の催事などに出張販売する際は、生地の粉とミキサーを持って行き、その場で生地を作る徹底ぶりだ。

 最終的には、包む人の感覚が頼り。生地を触ったときに「ちょうどいい」「まだ早い」と最終チェックをして、熟練の技で包んでいく。生地を包むときにできる「ヒダ」を12~13本にするのがコツ。見た目がよくて食べやすいほか、「餡がはみ出すことなく、一番ふっくらと蒸し上がる」から。

 餡が中心に置かれていることも重要だ。そんな風に、見た目も中身もいい、うまくできた豚まんを「美人豚まん」という。

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 ちなみに、豚まんの下に敷く「ザブトン」は松の木など国産木材でできており、蒸したときの香りをひそかに演出する。

豚まんにからしが付くのは551が最初?

 標準装備のからしは、関東人にはあまりなじみがない。だが関西の豚まんにからしが付くようになったのは、551蓬莱がきっかけとの説がある。もともと551は中華食堂だったので、お客さんが卓上のからしを付けていて豚まんに合うということで、「テイクアウトでも付けよう」となったとか。

 からしに保存料は入っておらず、毎日工場からできたてで店に入荷する。冷蔵庫にストックする関西人も多いが、数日のうちに食べないと変色してえぐみが出るそうだから、早めに食べ切ってほしい。

 じつは初夏の一定期間だけ、豚まんにポン酢が付いてくる。

 「夏の暑いときにもともとポン酢を付けるお客さんが多くて、社内で試したら『さっぱり食べられる』とGOサインが出ました」

 市販のポン酢はなかなか豚まんに合わず、オリジナルで作った。初夏の1ヶ月に限定しているのは、自社で作るゆえの生産ラインの都合から。

 さらに、九州では1年中豚まんをポン酢で食べる習慣があり、九州で物産展を行なう際には、代用品としてお酢の入った餃子のたれを渡すこともある。

隠れた実力派アイテム「甘酢団子」

 隠れた人気アイテムが「甘酢団子(10個入350円)」だ。

 お店のレジ横に積まれていて、関西の食卓の一品として食べられている。物産展ではお目にかかれないレア商品だ。

 「通販でも買えないので、関西の人しか知らないかもしれません」

 工場出荷の商品ながら、手作業で肉だねを丸めて、スプーンですくって揚げている。そのため空気が入った団子になり、ふわふわでやわらかい食感だ。

 「仕事から帰ってきたお母さんも、甘酢団子に少し野菜を合わせるだけで立派なおかずになります。育ち盛りの子どもがいるご家庭に人気です」

 共働きが主流の現代らしいヒット作であり、551の商品のなかで毎日最初に売り切れる。

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