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1番人気はもちろん餃子、では2番人気は…? 「ぎょうざの満洲」全店長が難色を示したのに大ヒットした“意外なメニュー”

『強くてうまい! ローカル飲食チェーン』より #2

2021/09/28

「本社社員は約20人だけ」親子2代でシステム化

 お店をバックアップする本社の社員は数年前まで13人しかおらず、いまでも川越本社の社員はわずか約20人。徹底した自動化で、管理部門・営業部門・品質管理部門を少人数で行なう。

 従業員の出勤時にもタイムカードの代わりに静脈認証を導入し、紙の給与明細も廃止してスマホでチェックできる。

 多店舗展開が成功した秘訣もシステム化だ。

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 店舗が8軒程度の規模のときに、POSレジをいち早く採り入れる。自動発注も1995年ごろから導入し、商品の廃棄ロス率を約8%→0.3%未満まで減らした。

 このような徹底した効率化が、創業者の金子梅吉氏、娘の池野谷社長の親子2代にわたる経営において貫徹されてきた。

 池野谷氏は1986年に入社し、食品商社勤務の経験を活かして、当時手書きだった帳簿作成をやめ、PCでの在庫管理・経営管理システムを構築する。さらにレシピの材料をグラム単位でマニュアル化し、経営のシステム化を推進。

 当時社長の父・金子氏にもPCスキルを伝授した。金子氏は、娘の池野谷氏をこう評す。

 「商売の細かいところにまできちんと目配りできるし、会社を引き継いで、私と同じ視点でやってくれるのはやっぱり娘だなって。仕事をするのに性別は関係ありません」

店員からの公募で選ばれるフェアメニュー

 ぎょうざの満洲では多くの効率化により、飲食産業には珍しい社員の1日8時間勤務と、週休2日を実現した。従業員の健康な生活があってはじめて、いいサービスをお客さんに届けられるからだ。

 ぎょうざの満洲といえば月ごとの限定メニューも魅力だが、スタッフの腕が鳴るのは年2回のフェアメニューだ。店員からの公募で選ばれ、考案者の名前や顔写真、コメントまでメニューに掲載。これなら「次は自分が」と、店員のやる気につながる。

 他店で食べたお客さんが、わざわざ電車で考案者の店まで足を運び、「君が考えたんだね。おいしかったよ」と声をかけてくれたこともあった。

 「涙が出るほどうれしかったです」

 限られた地域に集中出店するローカルチェーンだから生まれたワンシーンだ。

 なお、毎月発行の『おうちde満洲レシピ』にも、メニュー考案者のスタッフ名が表記される。

【前編を読む】「551HORAI」の商品のなかで毎日最初に売り切れるのは“豚まん”ではなく…意外と知らない“隠れた実力商品”とは

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