A子さんが「自分が悪かった。酒やめるね」
しかし転居後も夫婦仲はうまくいかなかった。日常的に激しい夫婦喧嘩が繰り広げられていた。そんな中、小学校4年生の大翔くんが万引をしてしまったという。
「大翔を叱る際に叩きました。このときは決してDVではなく、親の教育として普通のことだったと今でも思っています。でもA子が『DVだ!』と言い、大翔は児童相談所に預けざるをえなくなりました」
この状況に嫌気がさした田中被告は、昨年5月、A子さんとの関係を解消すべく、飯塚に逃げるように引っ越した。
「昼から酒を飲むA子に子供を渡したくない、という気持ちはありました。大翔も連れて行きたかったけど、自分のDVがあったということにされて児相に連れて行かれた状態だったので。泣く泣く、蓮翔と姫奈だけを連れて、飯塚市に引っ越しました」
しかししばらくして、居場所を特定したA子さんが田中被告を追いかけてきた。A子さんが「自分が悪かった。酒やめるね」と謝ったことから、また一緒に暮らすことになったのだという。その時期に大翔くんを児相から引き取り、また5人での生活が始まった。
「今回のことで一番悪いのは自分ですから」
しかし夫婦喧嘩は収まるどころか熾烈さを増し、昨年12月には離婚が決定的となる「血の海事件」を起こし、A子さんと田中被告は別の道を歩むことになった。A子さんは子供たちを置いて家を出たため、育児の負担は田中被告にのしかかった。そこから田中被告はストレスから大翔くんへのDVを止められなくなり、九州で3児の遺体が発見される事態に発展してしまった。
A子さんは今回の事件について何を思うのだろうか。今年8月中旬、田中被告の面会にA子さんが突然現れたことがあったという。しかし田中被告は、その時のことを詳しく語ろうとはしなかった。記者の質問がA子さんの細かい部分に触れると、田中被告は苛立ちをみせることもあった。
「自分のことは正直に話すが、A子のことを今悪く言うつもりもないし、A子のことはA子に聞いてほしい。A子は酒で問題も起こしたが、今回のことで一番悪いのは自分ですから」
そして静かにこう言った。
「子供3人殺られて、自分のことを許すはずはないです」
最愛の子供たちを手にかけて殺害した田中被告。実は過去に結婚と離婚を4回繰り返してきた。そのなかには既報の通り、普通の主婦を苛烈な暴行の末に殺害した“太宰府の女帝”も含まれている。拘置所でのインタビューでは、この波乱に満ちた半生にも話が及んだ。
その内容は近日公開する。