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「BOØWYの『Marionette』は矢沢永吉にも通ずるヤンキーの価値観の曲」 KGDR、Dragon Ash、浜崎あゆみはなぜ“ヤンキー”に愛されたのか

2021/09/17
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 また、この時代からヒップホップやラップの音楽が一部のヤンキーたちの間で人気を集め始めたのも、無関係ではないでしょう。今もヤンキー的な層に支持され続けているヒップホップやラップですが、日本の音楽シーンでのルーツは90年代。家族や仲間を大切に思う気持ちが表現されやすいこのジャンルが、ヤンキーたちに前述のような価値観を植えつけた可能性もあると思います。

90年代のヤンキーたちからも愛された「BOØWY」

――90年代後期になると「KGDR(キングギドラ)」や「Dragon Ash」が登場していました。では、そういったヒップホップカルチャーから派生したグループやバンド以外で、90年代のヤンキーたちに支持されたミュージシャンはいますか?

Dragon Ash公式HPより

斎藤 80年代を駆け抜けたバンドですが、「BOØWY」の存在感は90年代のヤンキーたちの圧倒的な支持を誇っていました。「BOØWY」は、よくこれだけ揃えたなと思うくらい、ヤンキーに好まれる要素が揃っているバンドだったんです。曲は非常に聴きやすく、ヒットチューンも多い。そして、歌詞の内容も当時のヤンキーの心情にマッチするところがあります。

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BOØWY公式HPより

 典型的なのはバンドの代表曲『Marionette』でしょう。社会の歯車になるな、匿名の存在になってはいけないというメッセージ性があるのですが、これは矢沢永吉さんの『アリよさらば』にも通ずる、ヤンキーの普遍的な価値観なんです。1988年に解散していますが、当時の「BOØWY」の存在感は矢沢永吉さんに匹敵するものがあり、解散後もヤンキーシーンへの影響はとても強いバンドでしたね。