原田さんは7月に2回目のファイザー製ワクチンを接種した直後、壮絶な副反応に見舞われたという。
「私は接種後に呼吸困難に陥り、ICU(集中治療室)にも入りました。自分の体験を話そうと思ったのは、ワクチンの副反応の実態が国や国民にしっかり伝わっているのか疑問をもったからです。ワクチン接種は大事ですが、副反応の調査も同時に進めていく必要があると思います」
原田さんは6月中旬のある日の午後、救急外来を備える大型病院で1度目のファイザー製のワクチン接種を受けた。その日の夜から蕁麻疹や倦怠感、微熱などの症状が1週間くらい続いたという。
「その後も本調子ではない、疲れやすい感じがずっと続きました。2回目の方が副反応が重いと聞いてはいたのですが、医療施設で働いているので2回目を接種しないという選択肢はありませんでした」
接種から10分で緊急外来に
7月上旬、原田さんは同じ大型病院で2回目のワクチン接種を受けた。接種後に急性の副反応が出るケースに備えて会場には待機エリアが設けられており、通常の待機時間は15分だが、原田さんは1回目の接種で副反応とみられる症状がでたことを病院のスタッフに相談し、30分間の待機を指示されていた。
「30分どころか、接種してすぐに手足が指先を中心にかゆくなってきました。とても熱を持っているような感覚があり、喉にはイガイガ感を感じました。
それを看護師さんに伝えたら血圧計を取りに行ってくれたんですが、待っている間に気管支が痙攣しはじめたんです。呼吸をするのが難しくて、重度のぜんそく症状というか……。ぜえぜえと息が切れて、明らかに異常な状況でした」
異常に気がついた別の看護師にストレッチャーに乗せられ、原田さんは救急外来に運ばれた。ここまで接種から10分足らずの出来事だという。
「急性のアナフィラキシーを抑えるためにアドレナリンを注射されましたが症状は収まらず、3時間で3回注入されました。それでも収まらなければ、気管支切開をする予定だったようです」
アドレナリンの注射などで呼吸は落ち着いたものの、動脈内に酸素が行き渡っていない状態が続き、ICUで様子を見た。
「アドレナリンの影響で心拍数はかなり上がっていましたが、徐々に落ち着きました。医療関係の知人からも『救急外来のある病院でなかったら死んでいたかもね』と言われましたが、本当にそういうレベルの症状でした」