文春オンラインがスタートした2017年1月、自分が第1回目に執筆した記事は「そばうさ」についてだった。それから4年半が経過した。「そばうさ」は2015年に創業。立ち食いそばのニューウェーブとして「バジル冷そば」など独自の味を提供し、孤高の人気店となっている。店が入居するビルの耐震工事により2020年10月に閉店を余儀なくされ、今年5月に創業地から程近い場所で営業を再開している。コロナ禍のいま、「そばうさ」はどんな状況になっているのか。久しぶりに訪問してみることにした。
「そばうさ」は東京メトロ半蔵門駅の永田町寄り出口を出て、国立劇場方向へ南下した半蔵門通り沿いで再開していた。以前は白っぽい外観だったが、新しい店舗はダークグレーのシックな外観となった。うかがったのは9月第1週の平日午後2時過ぎ。低温で霧雨が降っていたためか行列はなかった。
店内は以前より明るく入りやすい。大きな柱を中心にぐるっと一周できる動線がよい。その回りの壁には現代アートのポスターや絵が飾られて落ち着いた雰囲気である。入店するとオーナーの小島和樹さんと奥さんが笑顔で迎えてくれた。さっそくいくつか質問してみた。
テイクアウトをすぐに始めた
――コロナ禍でのお客さんの推移はどのような状況ですか?
小島:移転に伴う休業だったので比較はできませんが、去年は来店客数が徐々に減少して、今年5月に再開した後は一旦よくなったものの、その後は下がっていき、この夏のコロナ感染者激増で一気に減りました。とにかく半蔵門界隈に人がいないです。この辺りにはシステム会社などが多く、常連さんがたくさんいましたが、そのほとんどが在宅勤務です。この前、久しぶりにある常連さんがいらしたんですが、その人も1年ぶりの出社だと言っていました。
――来店客数の減少に、何か対策を講じていますか?
小島:コロナになってテイクアウトをすぐに始めました。うちの場合、麺が冷たいタイプで、しかもご存じのような太くゴワっとした麺なので延びることはありませんし、テイクアウト向きです。来店客数が減る分をどうにか支えているという状況です。