「いいえ、2回結婚していますよ。結婚したのは山本が最初で、ヤクザ時代には別の人と2回結婚して離婚しています。大翔や蓮翔、姫奈の母親のA子とは、東京から福岡へ出戻った後に出会いました」
2回目と3回目の結婚でも子供が生まれているという。
結婚離婚を4回繰り返し、子供は7人
「27、28歳で2回目の結婚をしました。相手は知人の紹介で知り合った、学校もしっかり出ている普通の女性でした。女の子と男の子ができました。相手からヤクザをやめてくれと言われたのですが、さすがにすぐには辞められなかった。そのうち向こうの両親にバレてしまい、離婚となったんです。子供とは強制的に離されました。ヤクザをしている以上、子供を一人で見るのは難しいですから。
3回目は30歳過ぎですかね。相手は5歳くらい下で、飲み屋で知り合いました。相手の男癖が悪く、この結婚期間も短かった。自分も相手を殴ってしまって、傷害でパクられもしましたね。このときは女の子が生まれました。今は10歳か11歳くらいになっています。この時も親権はとれませんでした。裁判で争いもしたが、やはり子供は母親側に、となりました」
まとめると、田中被告は4回の結婚離婚を繰り返し、計7人の子供がいることになる。元妻へのDVやヤクザ稼業などを鑑みると、離婚後に子供の親権をとることができなかったことは、子供の将来を考えると適切な決定だろう。
しかし田中被告にとっては納得のいかない処遇だったようだ。
過去語りで頻出する“他責的な物言い”
「山本との間の子供とも、2回目と3回目の子供とも、無理やり引き離されたんですよ。で、その後も関わりはまったくない。自分は子供が好きなんです。子供の笑顔って本当にこっちも嬉しくなるんですよね。そんな経験もあって、蓮翔と姫奈とも離れたくなくて……。こんな結果になってしまったんです」
過去を語る田中被告は、「山本の父親に暴力団へ“誘われた”」「子供たちとは“引き離されてきた”」など他責的な物言いが多かった。確かに過酷な人生だが、自分の行いや選択に対する反省はほとんどなく、幼稚な印象は拭えない。
思い通りにいかない人生の中で、田中被告が生き生きと語ったのが、子供たちとの思い出だった。
「趣味も特技もないんですよ。そんな人生ですが、子供と遊ぶのが一番楽しかったです」
田中被告はそう言って、“父親”として最も長く一緒にいた子供たち、大翔くんや蓮翔ちゃん、姫奈ちゃんとの思い出を振り返った――。
(田中涼二被告拘置所インタビュー#6へ続く)
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