史上初の両リーグMVP達成に加え、両リーグでの優勝を中心選手として経験するなど、名実ともに華々しい記録を残した江夏豊氏。20世紀最高の投手とも評される男は、いまプロ野球で活躍する選手をどのように見ているのだろうか。

 ここでは江夏豊氏の著書『強打者』(ワニブックスPLUS新書)の一部を抜粋し、セ・パを代表する2人への打者に対する考えを紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)

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柳田悠岐(外野手)/最もかっ飛ばす首位打者

●88年10月9日生まれ、広島県出身。188センチ、96キロ。右投げ左打ち

●広島商高→ソフトバンク(11年ドラフト2位~)

★通算10年、997試合、1104安打、打率.322、186本塁打、611打点

★首位打者2度、本塁打王0度、打点王0度、最多安打1度、盗塁王0度

★MVP2度、ベストナイン5度、ゴールデングラブ賞5度、球宴5度

★主な記録=トリプル・スリー、サイクルヒット。出塁率+長打率=OPS4年連続リーグ1位(15年~18年=巨人・王以来2人目)

【江夏との通算対戦成績】対戦なし

 柳田悠岐君(ソフトバンク)は、21年現在の日本プロ野球界で強打者NO.1だ。

 緻密な野球を身上とする広島商高出身だが、広島経大で大きなスケールに育ったのだろう。山田哲人君(履正社高→ヤクルト1位)と同じ10年秋のドラフトだが、秋山翔吾君(八戸大→西武3位)をソフトバンクスカウトが2位指名しようとしたところ、王貞治会長が寸前で言ったらしい。

「待て。誰が一番打球を飛ばすんだ? その打者にしろ」

 さすが王さんらしい。大きなスケールで育てようとしていたわけだ。(1位は山下斐紹捕手=千葉・習志野高→ソフトバンク→楽天→中日)。