トリプル・スリーを2年連続3度も達成
クライマックスシリーズ、ナゴヤドームに乗り込んだヤクルトは起爆剤として、一軍公式戦出場のない山田君を第2戦にスタメン出場させたのである。この試合で遊ゴロを10個ほど無難にさばき、ドライチとはいえ山田君は野球ファンの耳目を集めるようになった。
高校出2年目の12年11安打、13年99安打、14年は「初代ミスター・タイガース」藤村富美男さん(阪神)の右打者シーズン191安打を破る193安打を放った。
・15年、143試合183安、打率.329、38本、100打点、34盗塁 MVP
・16 年、133試合146安、打率.304、38本、102打点、30盗塁
・18年、140試合165安、打率.315、34本、89打点、33盗塁
1度達成だけでも困難なトリプル・スリーを実に2年連続3度も達成している。3度はバリー・ボンズに続き日米2人目の偉業である。また前出の秋山幸二君が本塁打王獲得後に盗塁王を獲得しているが、山田君は同一シーズンの獲得である(15年)。
バックスピンをかける技術がすばらしい
さらに18年~19年にかけて38連続盗塁成功(日本記録)。
なぜ大きな体でもないのに飛距離が伸びるのか。13年にシーズン60本塁打の記録を持つバレンティン(ヤクルト→ソフトバンク)は話す。
「ボールを遠くに飛ばすのに大事なのは体の大きさではなく、ボールの下を叩くことであり、テツトはバックスピンをかける技術がすばらしい」
チーム成績がよくないと、どうしても選手というのは個人記録に走ってしまうものだが、山田君は15年にリーグ優勝に貢献した。15年はバレンティンが左ヒザ手術の影響でわずか1本塁打。2番・川端慎吾君、3番・山田君、4番・畠山和洋のラインナップ。優勝シーズンでのトリプル・スリー(本塁打王&盗塁王)だけに価値があるというものだ。
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