「ゴロを打つなら、三振のほうがいい」
とにかくバットスイングが速い。バットを振り込んでいる証拠だ。肩が強いから速い球をほうれるかと言ったら違う。投球の練習をしなくては、強肩を生かせないのと一緒だ。人一倍バットを振り込んでいるからこそ、スイングスピードが速くなる。
13年春季キャンプで、清原和博君が「すごい選手を見つけた。日本人でスイングスピードは一番速いと思う」と話していたのを思い出す。清原君の目もすばらしい。
その13年、104試合、88安打、打率.295,11本、41点で頭角を現わし、その後の活躍はご承知の通りだ。
・15年、138試合、182安、打率.363、34本、99打点、32盗塁、101三振 MVP
・18年、130試合、167安、打率.352、36本、102打点、21盗塁、105三振
フルスイングで100を超える三振数なのに.350を超える打率で2度の首位打者。本人は「ゴロを打つなら、三振のほうがいい」と語っているらしい。あれだけ飛距離が出るのに、タイトルは本塁打王ではなく、首位打者なのは不思議ではある。
代走だけでも食っていけるくらいの俊足
柳田君の打撃技術、188センチの長身を生かして飛ぶ打球はケタが違う。15年三浦大輔君(横浜)から横浜スタジアムのスコアボード直撃の大ホームランを放ち、オーロラビジョンを破壊したシーンは記憶に新しい。
逆方向の左翼方面でも打球はフェンスを越える。打つポイントがいいのだろう。そして、しっかりと投球を叩いている。
大柄でストライド走法なので見た目は速くないが、普通の遊ゴロでもアウトにするには間一髪だ。代走だけでも食っていけるくらいの俊足だ。いつだったか、一塁走者だったのが、次打者の二塁打で、余裕で本塁を駆け抜けた。走力に加えて打球判断がいい。トリプル・スリーもできるわけだ(前出15年)。『江夏の21球』の79年、近鉄の先発投手にはサイドスローの柳田豊君(10勝5度、通算110勝)がいた。悠岐君はその甥っ子らしい。
プロ10年を経た32歳。今後、常識を打ち破ってどんなプレーを見せてくれるのか、まだ興味は尽きない。