文春オンライン

ウイルスセンター長が警報を鳴らす「空気感染を認めないと、防げるものも防げなくなります」

『亡国のオリンピック』より#2

2021/10/06

source : ノンフィクション出版

genre : ニュース, 読書, スポーツ, 社会, 医療, 国際, 政治, 経済, 歴史

note

ワクチン未接種や免疫がない人は、少ないウイルス量で感染

──新型コロナの場合、ウイルスの曝露(ばくろ)量がどれぐらいで発症するなどのデータはまだ集まってないのですか。

西村 まだわからないですね。イギリスで人体実験をやるという報道があったはずですが、結果を聞いていません。過去のインフルエンザのボランティアを使った感染実験では、免疫のない人にウイルスを吸わせると、数個レベルで感染した。免疫がある人だと、発症するのに100個ぐらいのウイルスの量が必要だった。実はそのときウイルスを鼻に垂らした実験があって、それだと1万個以上ないと感染しませんでした。

 このアナロジーでいけば、コロナもワクチン未接種や免疫がない人が吸った場合、少ないウイルス量で感染する。しかし、ワクチンを接種していれば、相当量曝露しないと発症しない。

ADVERTISEMENT

 ですから、空気感染といっても、そんなに簡単にバーッと広がるわけではありません。数個で感染するといっても、普通ウイルスは漂っているとしてもほんのわずかです。そういったところにずっといれば確かに危ない。一方、たまたま通過した程度なら吸って感染する確率はほとんどない。そういう話も一緒にしていかなくてはなりませんね。

亡国の東京オリンピック

後藤 逸郎

文藝春秋

2021年9月13日 発売

ウイルスセンター長が警報を鳴らす「空気感染を認めないと、防げるものも防げなくなります」

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

ノンフィクション出版をフォロー