「福島県民です。福島の桃を皆さんが持って笑顔になってもらえて、嬉しくて涙が出ました。ほんとはもっともっと福島に皆さんが来て、現地で食べて欲しかった。今回桃を食べた方が、美味しかったよって桃大使になってくれればいいなと個人的におもいます」
「福島生まれ福島在住です。福島産を海外の方が喜んでくださるということが、福島の農業関係者にとって、どれだけ救いになるか。笑顔で桃と写る皆さんをみて、これまでの10年が報われたような気がして、大変ありがたい記事でした」
「福島県民です。韓国のニュースに心がやられましたが、野菜も果物も本当においしいです。小さな子供達も地場産物で育っています。農家の皆さんに感謝です。この記事にほっこりしました」
これらはオリンピック後に書いた記事に頂いたコメントだ。能天気に始めたプロジェクトだったのに、予想外に反響があり、特に福島の方々からのたくさんのコメントに正直驚いた。
そして、福島の人々が震災から10年、どれほどの苦労、心労を抱えて過ごしてきたかが窺えた。また復興五輪をマニフェストとして掲げ、東京大会の招致が決まってから8年。原発によって大きな被害を受けた福島ではハード面もソフト面、つまり心の復興もまだ道半ばなのだと感じさせられた。
韓国が「福島の食材を避ける」という報道
オリンピック開催直前、韓国の五輪委員会にあたる大韓体育会が福島の食材を避けるために給食センターを作り、弁当を韓国選手団に提供するというニュースが流れた。筆者も少なからずショックを受けた。
オリンピックやパラリンピックの際に各国がシェフを帯同し、食べなれたものを選手に出すのはよくあることだ。日本も過去の大会では「ジャパンハウス」を作り、そこで日本選手に日本食を提供しているし、今大会も多くの国がシェフを招聘して事前合宿などで選手の食を支えている。
韓国代表の給食センターも、基本的には選手のパフォーマンスを考えた措置だったはずなのに、なぜあえて「福島の食材の安全性」を懸念材料として挙げる必要があるのだろう。そう感じた。
名指しされた福島の方々、特に農業に従事する人たちが、大きなショックと悲しみを感じたのは想像に難くない。一部報道によると、そのニュースに乗じて福島の農産物の値下げを求める国内業者もあったという。
福島の人々がどんなに苦労や努力を重ねても、一瞬で色々なものが崩れ落ちる。そう感じさせられた出来事だった。
また復興五輪として大会を招致したにもかかわらず、サポートの手薄さを感じたり、モヤモヤした気持ちを持っていた人も多かったはずだ。