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 しかし、パーク上部、高架のすぐ下に開いた1.5mほどの隙間から漏れた音に対し、日中の数時間の滑走の際に出た騒音に近隣住人は猛反発、あまりの声に事業を精査し直さざるをえなくなってしまったのだ。 

雨天でも滑走可能で貴重な市街地の施設になるはずだったのだが、上部に見える隙間から漏れた音が原因で滑走不可能に ©Yoshio Yoshida

スケートボードが抱える根深い問題

 苦情への対応策は、開いた隙間を塞ぐこと以外になかった。

 ただそうすると、今度は施設全体が構造物になってしまうため、基礎工事からやり直さなければいけなくなってしまう。修繕にかかる費用はおよそ1億5000万円。京急が負担すると、いくら営業をしても採算がとれなくなるという試算が出てしまったことで、八方塞がりとなり、事業自体が中止になってしまったのだ。

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 事業中止の背景には、騒音検査で想定以上の音が出てしまったのもあり、そこに対して反対の声があがるのも無理はない。

 しかし、取材を進めるとそれだけに収まらない、スケートボードが抱える根深い問題が見えてきた。

このスケートパークは高架の上を電車が通過し、近くには幹線道路が走っている。常日頃から騒音とは隣り合わせのエリア ©Yoshio Yoshida

 というのも、そもそもこのエリアは高架上を電車が走っているだけでなく、東京の幹線道路のひとつである環状8号線にも面しているので、以前から日常的に騒音に晒されている地域なのである。

 電車やバイクが通過する音も規定値を超えており、パーク完成時の騒音検査で出た音量と何ら変わらないそうだ。

地域住民との隔たり

 もちろん電車などの交通音は常に出続けているわけではないが、それはスケートボードも同様で、技を繰り出す際のデッキ(ボード)を弾く音やレールなどのセクション(障害物)を捉えた時に響く甲高い音などは、ほんの一瞬だけである。

 さらにこのスケートパークの滑走面はスムースなコンクリートなので、ただ滑るだけでは騒音と呼べるほどの大きな音は意外と出ないものなのだ。そう考えると、苦情の原因がスケートボードの滑走音だけなのかというところにも疑問符がつく。

 そこで苦情の更なる詳細な内容を聞いていくと、おぼろげながら地域住民との隔たりが見えてきた。

 この施設では、夜間に滑走したことは一度もないにもかかわらず、「音がうるさくて夜も眠れない」と言う声があがっていたり、スケートショップができたことで集まるようになった人たちに対して、「ガラ悪そうな人がいる」「今まで街にいなかったような人がいる」といったクレームまで入っているというのだ。