目障りだとまでは言わないものの、これらの声はショップとスケートパークができて環境が変わったことに対する違和感やスケートボードに対して抱く先入観や偏見からくるものだということは、否定できないのではないだろうか。
電車や車・バイクといった公共性の高いものは許されるが、スケートボードのような特異なものは受け付け難い。この一連の騒動には、そのようなちょっとやそっとでは拭えない障壁が立ち塞がっているようにも見えてくる。
迷惑にならないところを模索しての活動
しかし、今夏に行われた東京オリンピックでの堀米雄斗選手らの活躍によって、ヤンチャな印象だったスケートボードのイメージが大きく変わったという声をそこかしこから聞く。
実際に冨田さんもその変化を実感しているそうで、「早く使えるようになると良いね」といった声から、中には「いつ開くのかと思ってたけどもう我慢の限界! なんで開いてないのか教えてよ!」という熱狂的なものまで、応援の声が増えたという。
それだけでなく、パーク復活へ向けてなんとか近隣の理解を得ようと、パーク外のアスファルトのフラットな路面で、柔らかく滑走音のしないウィール(車でいうタイヤにあたるパーツ)を使うなどしながら、騒音の出ない範囲で初心者の個人レッスンも行い続けているという。迷惑にならないところを模索しての活動を見せてきたことでも、着実に理解は深まってきているそうだ。
ただ、冨田さんの活動はそれだけでは終わらない。
天空橋駅でもスケートパーク建設運動
ショップとパークがある糀谷駅から羽田空港方面へ進んだ、天空橋駅にあるおよそ2万平米の公園建設予定地にも、世界大会の開催が可能な規模のスケートパーク建設運動を行っているのだ。
というのも、ここは運河を隔てた先にあるため、市街地に比べてスケートパーク建設に対する規制が緩和される点が大きい。江東区の有明アーバンスポーツパークが五輪会場となったのも、そういった建設条件に合致していたからである。
さらに駅前という好立地なだけでなく、すぐ隣には羽田空港があるので世界的に見てもアクセスは抜群。
飛行機が四六時中飛んでいるエリアなので、近隣住宅は防音設備を整えているところが多く、騒音にも寛大な土地柄なのだそう。