100年以上も走り続け、私たちの生活を支える山手線は、車両の入れ替え以外は目立った進化がないように見えて、実はマイナーチェンジを続けている。

 まもなく、2021年10月22日(金曜日)の終電後から10月25日(月)の初電までも渋谷駅で大規模な工事が予定されている。これにともなって、10月23日(土)、24日(日)は山手線内回りの大崎~渋谷~新宿~池袋間で運休する。

 なお、外回りの同区間でも運行本数は大幅に減って、運行間隔は最大7分になる。埼京線は池袋~大崎間の臨時列車を運転するなど増発、京浜東北線でも快速運転を中止して、それぞれ山手線の運休を支えていく。

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2002年から2020年まで運行されてたE231系電車 ©iStock.com

朝ラッシュ時の増発を可能にした技術

 山手線の進化を振り返ると、1981年には、信号保安装置がATS(自動列車停止装置)からATC(自動列車制御装置)に変わった。ATSは赤信号を無視すると強制的に非常ブレーキがかかる仕組み。ATCは運転席の速度メーターに制限速度を明示して、その速度を超えると非常ブレーキがかかる。これをきっかけに山手線は地上の信号機が不要になった。

 2006年にはデジタル式のATCを導入した。従来は線路を一定の区間で区切り、1区間に1列車しか入れない仕組みだった。デジタルATCは線路を区切らず、列車の位置を検知して一定の間隔を保つ。これで運行間隔をさらに短縮できて、34年ぶりに朝ラッシュ時の増発が行われた。

 1990年に通勤混雑対策のため6扉車が連結され、1991年には11両編成となる。2010年に恵比寿駅でホームドアが設置されたけれども、6扉がある7号車と10号車には設置されず。ホームドアの設置は6扉車廃止のきっかけとなった。

 最近の山手線の進化は「高輪ゲートウェイ駅」の開業と、それに伴う線路の移動、品川駅のプラットホーム配置の変化だ。2018年に京浜東北線の乗り場が4番線から5番線に移動し、東海道本線上りと同一プラットホーム乗り換え可能となった。もっとも逆方向だから便利になったわけではない。工事の都合だ。