毎月自由研究を仕上げているようで楽しい
──衣類の素材も、今とはだいぶ異なりますよね。
ふかさく 「モスリン(薄手のウール)」「スフ(ステープルファイバーの略。木綿の代用として使われた、化学繊維で作った紡績用の短繊維)」という単語が普通に出てくるんですが最初はこれが何かわからなくて戸惑いました。 昭和15年の洗濯の本を見ると、 「浴衣も今から新しく求めるものは殆どがスフになりました」という記述が出てきたりして、歴史書として読んでも楽しめます。古い資料は旧漢字が多いので、化学式よりも読むのに苦労していますが、調べ上げてストーリーに組み込んでマンガにするのは、毎月自由研究を仕上げているようで楽しいです(笑)。
──プロのクリーニング師の国家資格を取得されたのも、勉強が楽しくなったからですか?
ふかさく クリーニング師試験はさすがに無謀だと思っていたので、これならできそう、とまず洗濯ソムリエという民間資格だけ受けたんです。家で資料を見ながら回答できるというものだったので、かなり気楽に挑戦しました。
記念受験のつもりが一発合格
クリーニング師は国家資格で、クリーニング店などに有資格者の設置が義務づけられているプロのための資格です。連載初期は自分が受験するなんて全く考えてなかったんですけど、参考文献で一番読み込んでいた資料がクリーニング師試験の対策用テキストでもあったので、新たに覚えないといけないことがそこまで多くなかったというか、今の自分はどれくらい通用するのか、次第にちょっと力試ししてみたくなったんですね。年に1度しかない試験だし、クリーニング師試験の資料にもなるし無駄にはなるまいと記念受験のつもりで受験したら、一発合格だったので本当にびっくりしました。
これまで完全独学だったものが、国家試験に受かるくらいの知識は身につけられたのかな、とちょっと自信になりましたね。最新刊の4巻では、茶子がクリーニング師の資格試験に挑戦するエピソードも収録していますが、実体験が元になっているシーンが随所に入っています(笑)。通常の取材ではなかなかここまで見せてもらえないと思うので、思い切って受けてみてよかったですね。