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横行する「票ハラ」を止めなければ立候補者はいなくなる
この女性が「ウソツキ」と言ったのには理由がある。林は前回選挙で「IRは白紙」と言って当選したが、その2年後、「IR推進」に舵を切ったからだ。女性の「ウソつき」という批判は、林の変節に対する批判だと思われる。これはまだ批判の範囲かもしれない。しかし、「クソババア」はいただけない。せっかく選挙に立候補してくれた人を攻撃することは、有権者の利益にならない。
そもそも誹謗中傷で候補者を傷つける権利などない。批判は投票行動で示すのが民主主義だ。
もし、「クソババア」という罵声も我慢しろということになれば、立候補してくれる人は確実に減る。女性がなかなか立候補してくれないのも、セクハラや「票ハラ」が横行する現状を見ているからだ。これはただちに改めてほしい。候補者の多様性が担保されないのは、権利を履き違えた有権者のふるまいも一因になっている。
手を振る活動を終えた後、林はマイクを握って演説した。最初のテーマはIR。「誘致することで横浜市には1000億円の収入が入る」「カジノ部分は全体の3%」「施設の建設費は業者が出すので市の負担は一切ない」「ギャンブル依存症の心配もない」と自らの言葉で丁寧に説明した。足を止める人は少ないが、時々、「IR、やってください」という人がやってきてグータッチをする。男性もいれば女性もいる。
この日の演説会が終了した後、林は車に乗って次の演説場所へと向かった。演説会場でスピーカーを片付けていたのは、林を支援する6人の自民党市議たちだ。私はベテラン市議の1人に「先ほど林さんが罵声を浴びせられていましたね」と声をかけた。