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批判された「IR推進」を支持する層もいることに気づいた

「ああ、ウソツキ、クソババア、って言ってた女性ね。本当に困ったもんだ。お前がクソババアだろ! って思うよ」

 私は絶句するしかなかった。選挙戦最終日に林があざみ野駅で行った演説も見に行った。すると、そこでも驚くべきシーンを目撃した。演説終了後の林に「カジノはやったほうがいい」と声をかけてきた男性の顔に見覚えがあったからだ。

「あ! 加藤さん!」

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 その男性は2021年3月の千葉県知事選挙に立候補した加藤健一郎だった。加藤は政見放送で「私の現在の夢は千葉県知事に当選して、小池百合子氏と結婚することです」と打ち明けて大きな話題となった人物だ。その加藤がなぜここにいるのか。

「まったくの別件で知人を訪ねて来たら、偶然、林さんの演説に出くわしたんです」

 本当に選挙は何があるかわからない。

 林は投開票日に行った敗戦の弁で「2年前にIR推進の記者会見をしてから反対の嵐の中で生きてきた」と言っていた。しかし、選挙で政策を説明することで、「IRやってね」という声があることを再確認したという。なんと、そのうちの1人は横浜市長選挙の選挙権を持たない加藤だった。

【前編を読む】“板橋区”の候補者が“愛知県民”を支援!? 過去2番目の低投票率だった「都議選2021」 での思いもよらぬ“選挙運動”とは

コロナ時代の選挙漫遊記

畠山 理仁

集英社

2021年10月5日 発売