暑すぎて毎日一つ結びにしていた夏を終えて、久しぶりに髪を下ろすと、ふと気付くこと。以前より毛先がざらついている。少し引っ張るだけでもプツッと切れてしまう。

 頑張って伸ばしているところなのに、いつの間にこんなに傷んでしまったんだろう? これ以上髪にダメージを与えたくないのに、どうしたらいいの?

 今回は、知らぬ間にやってしまっている「髪が傷む習慣」について、解説します。

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髪の毛のケアに必要な考え方

 髪の毛が知らぬ間に傷んでいるのには、理由があります。それは、髪の毛には「自然治癒力」が無いことに起因しています。

 美容界では髪の毛を「死んだ細胞」と呼ぶことがあります。髪の毛には自然治癒力が無いため、生まれた時点で「死んだ」状態にあると言えるからです。

 髪の毛は、負った傷を自分で回復することができません。トリートメントで外部から修復することはできますが、効果は長く続きません。

 また、当たり前のことですが、髪の毛は根元から生えます。一番健康な状態である“根元の毛”はロケットえんぴつの様に次第に“毛先”になるため、何年もかけて徐々に“毛先”になる段階で、外からの刺激を受け続けてダメージを負っていきます。

 ですので、お客様から「毛先が傷んでるわ、髪に栄養が行き渡ってないのね」といった嘆きを聞くことがありますが、これは間違いです。髪の毛の毛先には、そもそも栄養は行き渡りません。

 この2点から髪の毛のケアは、いかにダメージを負わせずに生活を送れるかが大事なのです。

髪の毛は海苔巻き

 イメージ髪の毛は輪切りにしてみると、「海苔巻き」のような形状をしています。表面を覆う「海苔(キューティクル)」、具を包む「シャリ(コルテックス)」、真ん中の「具(メデュラ)」と、大きく分けて3層構造になっています。

 海苔にあたる「キューティクル」は、鱗のような状態で表面を覆い、根元から毛先に向かって重なっていて、鎧の役割をしています。

 シャリは「コルテックス(毛皮質)」と呼びます。カラーやパーマの薬剤がアプローチするのはこの部分で、髪色に関係する成分や形を形成する結合組織が詰まっています。

 そして具にあたる「メデュラ(毛髄質)」。きゅうりでありマグロですが、実際は空洞です。この空洞は保湿力に影響します。空洞には水分を溜め込むことができます。