SEKAI NO OWARIのメンバーのSaoriさんとして活動し、そして作家であり、子育て真っ最中でもある藤崎彩織さんが、日々のあれこれに悩みながらなんとか前へ進もうと綴った文章をまとめた『ねじねじ録』を刊行。
これを読んでぜひ感想を伝えたい! と進み出たのは、『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』などの著作やSNSで人気の作家・岸田奈美さん。
いま最も広く共感を呼んでいる稀代の書き手ふたりの対談を、ここに。(全2回の1回目。後編を読む)
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インディーズ時代からSEKAI NO OWARIをよく聴いていた
岸田 直接お話しするのは初めてですね! 私はもともとSEKAI NO OWARIが、漢字表記の「世界の終わり」と名乗っていたインディーズ時代からよく聴いていてとても好きで。ずっと憧れだった彩織さんが、あるときなぜかTwitterで私の話をし始めてフォローまでしてくれた。まさか、ウソやろー! って焦りました。なんで私のことを知ってくださったんですか?
藤崎 いえいえ最初からめちゃくちゃバズってたじゃないですか。ちょうど2年くらい前ですよね、岸田さんがnoteに『弟が万引きを疑われ、そして母は赤べこになった』というエッセイを投稿していたのは。私のTwitterのフォロワーの方々もみんな「いいっ!」って言っていて。そのとき私は「そうかそんなスゴい書き手の人が出てきたのか、読んだら『敵わない……』とヘコむかも」と思ってすぐには近寄れなかった。
スゴい書き手だったんだな、これは納得
でも話題がどんどん膨らんでいくから、恐る恐る読んでみたらすごくおもしろくて、もうすぐフォローせずにはいられなかった。でもじつはその後しばらく落ち込んだんですよ。世の中にはこんな文章をさらりと書けてしまう人がいるんだって。そうこうしているうち、あっという間に岸田さんは超有名になられたんで、ちょっと安心しました。こんなおもしろいのに世に知られていないなんてあり得ないし、やっぱりそれくらいスゴい書き手だったんだな、これは納得だと思えて。
岸田 ああもうそんな……Twitterやってて、よかったです(笑)。最初フォローされたのに気づいたときは正直、怖かったですよ。ヤバイ、雲の上の人が降りて来ちゃった! と。彩織さんが見てるのかと思うと何をつぶやいていいかわからなくなるし、気持ちを立て直すのがたいへんでした。