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「入って5分で精神崩壊する」“ネットで話題のカオスな博物館”をセーラー服姿の謎の人物が作っちゃったワケ

「まぼろし博覧会」館長・セーラちゃんインタビュー#1

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砦の上にパラダイスを作ろう

――「まぼろし博覧会」の展示物は何点くらいあるのでしょうか。

セーラちゃん どうなんですかね……。数えたこともないのでね。たぶん2万点とか、もっと超えてると思いますよ。お客さんにも聞かれるんですけど、「良かったらお客さん数えてください」って言うと、「いやー……」って言われて終わりですけど(笑)。

 1つずつについてこれはどうだって説明はしていません。それは見る人が勝手に思えばいいことなので、もったいぶって説明するっていうのは、それは学ぶことになるので。ここでは学ぶ必要ないと思うので(笑)。

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©文藝春秋 撮影・宮崎慎之輔

――なぜこの場所を選んだのでしょうか。

セーラちゃん もともと熱帯植物園だったんですよ。廃墟になっていたんです。それで(地形が)山みたいじゃないですか。水滸伝の梁山泊みたいな感じがして、「ああ、ここを砦にしよう。砦の上にパラダイスを作ろう」と。

 ここが運動場みたいな平らなところだと作るのは楽なんですけど、楽しくもなんともないじゃないですか。山になっていて、砦のようになっていて楽しいじゃないですか。だから子供心に返って作ろうという感じですね。

以前は熱帯植物園だった「まぼろし博覧会」 ©文藝春秋 撮影・宮崎慎之輔

作品を譲ってもらうだけでなく、人との繋がりも大事に

――展示物の中には、全長12mの聖徳太子像などの大きな展示物もありますが、それらはどうやって集めたのですか。

セーラちゃん 映画のために作った奈良の大仏があったので、それを(映画の撮影が)終わってから聖徳太子に改造して運びました。

 他にも東京藝術大学の一昨年の学園祭「藝祭」のときに学生が作った巨大な御輿(牛頭馬頭御輿/幅約3.5m高さ約4m)は、引き取り手を探していたんですけど、大きいからどこも引き取り手がなかった。そんな時にTwitterのフォロワーの人が<まぼろし博覧会がいい>と紹介してくれたんです。それでこちらで連絡を取って、学生さん16人に来てもらって、ここで組み立ててもらいました。ただ作品を譲ってもらうだけじゃなくて、人との繋がりというのも大事にしています。

全長12mの聖徳太子像 ©文藝春秋 撮影・宮崎慎之輔