昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2021/10/16

「目だったらいかんから…」不自由を感じざるを得ない場面

――夫婦だった頃と、なにが一番変わったと感じますか?

つしま 離婚したという実感も特にないんですよ。離婚した時、私は前の名字に戻さなかったし。名前も変わらず、離婚といっても紙の上でのこと。変わったのは保険証が別々になったくらい。なにか意識するわけでもなく。

わふこ そうね。特にないね。

――単行本のあとがきで「トランスジェンダーとして、またトランスジェンダーのパートナーとして、不自由を感じざるを得ない場面があるのは否定できません」と仰っていますが、具体的にどういったことがあるのでしょう。

つしま 冠婚葬祭は不便ですね。ああいった場の服装ってバシッと男女が分かれているじゃないですか。

 かしこまった場ですし、参列する私たちは主役じゃないので目立ったらいかんわけじゃないですか。そうすると、わふこが女性の格好をしてお葬式に参列するのは、現実的にだいぶ難しいというか。結婚していて夫という立場だと、男性の服装をして「男性ですよ」といって行かないと、どうもよろしくないということになったりする。

 みんなは「自分は大丈夫。偏見はない。でも、周りがなんて言うかな」と、心配するんですよね。ひとりひとりは理解してくれているけど、そういう気持ちもある。冠婚葬祭には、そういった圧がありますね。

 わふこさんも女性としての格好をして出たいという気持ちが強いわけでもないので、そこはネクタイを締めるんですけど。モヤッというか、不自由を感じる場面ではあります。

わふこ メチャメチャ精神的な苦痛を感じるみたいなのはないんですけど、うっすら「やだな」っていうのを感じはします。しょうがないかって。

「なんでかは分かんないけど特別なの」

――冠婚葬祭の話が出ましたが、以前はウェディングドレスとタキシードを着て結婚記念の写真を撮ったので、ドレス同士で写真を撮り直すのが夢であると。これは、もう実現とかは。

つしま まだですね。コロナもありますし。このまえ、家の給湯器が壊れてお金が出ていったのもあったので、お金を貯めてから。頑張って貯金してます。

夫は実は女性でした』より

――わふこさんの恋愛対象は男性であることに対して、つしまさんが「私は女だけど…?」と訊ねたら「なんでかは分かんないけど特別なの」と答えています。この“分かんないけど”の部分は、いまだと具体的に言い表せますか?

夫は実は女性でした』より

わふこ 愛着みたいな。長年連れ添ったぬいぐるみみたいな。

つしま ぬいぐるみかよ(笑)。かわいいってこと? 

わふこ ん?

つしま かわいいってこと?

わふこ まぁね。

夫は実は女性でした (ワイドKC)

津島 つしま

講談社

2020年10月13日 発売

この記事の写真(5枚)

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー