――手術の費用についてもお描きになっていましたけれども、国内オペの造膣なしで約100万円。これは公的医療保険が利いての値段になるのですか。
つしま 自費です。保険が利くのは、最初の精神科で受ける性同一性障害の診断まで。
わふこ ジェンダークリニックでも、ホルモン療法とかは自費で。精神科の診察だけ保険が利く感じです。
つしま 私たちもそんなに詳しくないんですけど、オペは保険適用内なんですが、ホルモン療法は適用外なので、どちらも受けると混合診療という扱いになってしまって、結局、オペも自費になるんですね。制度の問題というか(※)。保険が利いたら、ちょっとは楽だったなとは思います。
※……性別適合手術を受ける人の大半が事前にホルモン療法も受けるため、国内で行なわれる手術のほとんどに保険が適用されていない。このままでは手術の保険適用に実効性がないとして、当事者などから制度の改善を求める声があがっている。
「ズキーン ズキーン」体験したことのないタイプの痛み
――術後のエピソードで、麻酔が切れてから、男性器の幻肢痛的なものが到来してきたと。「ズキーン ズキーン」「もやもや」という擬音で表現されていましたが、それまで体験したことのないタイプの痛みですか。
わふこ 体験したことはない感じの痛みでしたね。たとえるなら、麻酔がすごく効いてるところにガーッととんでもない衝撃が加わったぞ、みたいな。向こうのほうで痛い、みたいな。
つしま 痛いような気がするみたいな。麻酔は偉大だね。その後も、ちょっと違和感があったんだよね。
わふこ ここ最近、ひと月ぐらい前かなと思うんですけど。睾丸に繋がる管みたいなものが、なにかに触られてるみたいな感じが。そこも、もうないはずなんですけどね。
つしま 痛くはない?
わふこ 痛みはなくて。触ってる、触られてる感じ。手術跡が縫い目みたいになってるんですけど、そのへんをちょっと押してみるとそこに繋がっていたのかなという気にもなる。
つしま 面影を感じる。あったものの面影みたいな? 何だろう、気配?
わふこ すでになくなってはいるけど、なんかあるっていうか、触ってないけど触ってるみたいな。
つしま すごい不思議だよね。
トイレの仕方はつしまさんが教えた
――術後にトイレに入ったわふこさんが拭き方がわからないと慌ててしまい、つしまさんが教えるのも印象的でしたが、こういった部分に対するケアとかレクチャーはないんですね。
つしま 教えてくれる病院もあるかもしれないんですけど、特になにもなかったです。
わふこ なかったですね。術後すぐはカテーテルが入っていたから、その場合の出し方はレクチャーされましたけど。取った後のトイレの仕方みたいなのは教わってはいなかったです。