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「衣装を着ることにおいては、生理はないほうがいいんです」フィギュアスケーター鈴木明子が囚われた“危うい思い込み”

『生理CAMP みんなで聞く・知る・語る!』より #2

 腹痛、腰痛、倦怠感、気分の落ち込み……。個々人の特性や体調によって、症状の重さは異なるものの、生理に関連して起こるPMS(月経前随伴症候群)に悩まされる女性は多い。

 なかでも、一瞬のパフォーマンスが評価されるアスリートは、月経が試合に重ならないかを気にしたり、月経周期による好不調を否応なく意識させられたりするなど、影響は多大だ。彼女たちはどのように生理と向き合っているのだろうか。

 ここでは、生理の話題をオープンに取り上げ、大きな話題を呼んだテレビ番組『生理CAMP』(集英社)の一部を抜粋。フィギュアスケート選手の鈴木明子氏へのインタビュー、上田氏による「アスリートの生理あるある」をまとめた漫画を紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)

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厳格に体重を気にするようになり、生理がこなくなる

――現役時代、摂食障害が原因で生理が止まってしまったそうですね。

 初潮のときは、「ああ、きちゃったのか。これで選手として難しい時期がくるぞ」という感覚でした。生理がくる=体重で悩むイメージがあって。海外の試合に出ると、みんな手足が長くてスタイルがいい。でも身長は変えられないし、変えられるのは体重だと思ってしまいました。

 高校生までは、親が食事管理をしてくれていましたし、毎朝走って体重が増えない努力をしていたんです。アスリートとしては浅はかなんですが、体を作るというよりは、女子高生にありがちな細ければいいやという考えで。

撮影=Nobuaki Tanaka
撮影=Nobuaki Tanaka

 大学生になって、一人暮らしを始めました。それまで「体型を保ててえらいね」と周りから褒められていたのが、強迫観念みたいになってしまって。自己管理ができないと見られるのが怖くて、より厳格に体重を気にするようになり、体重がどんどん落ちて、生理がこなくなりました。

 そこから2~3年は生理がなかったと思います。レディースクリニックでは「体脂肪がある程度ないと生理はこないから」と言われて。ようやく生理がもどり、トレーニングを再開してからも不安定で、オリンピックに出ていた頃も、試合のシーズン半年間は生理がなかったんです。大きなストレスがかかったときは不順になりやすいですよね。私の場合はメンタル的な影響が大きかった気がします。

おかしいということに気づけたのは、25歳を超えてから

――生理がこないことをどう捉えていましたか?

 よくない考えなんですが、フィギュアの衣装を着ることにおいては、生理はないほうがいいんです。足を上げるときも気になりますし。むしろ、生理がこないことで、自分の体を追い込めている、試合への準備ができているという錯覚に陥ってしまって。本当はそこでまた病院に行くなどの対処をしなければいけなかったのに、放置し続けてしまいました。

 おかしいということに気づけたのは、25歳を超えて、周りの友達が結婚や出産をするようになったからです。周囲の人生のステージが変わっていく中で、私も選手としての終わりが近づいて、次の人生を考えるようになりました。そこで、私の体は女性としてきちんとしているのだろうかと不安を感じたんです。