世界を目指す若い10代の選手にそれを感じろといっても難しいと思うんですよ。私自身もそうでした。でも、その先の人生の方が長いのに、未来に後悔を生んでしまうことは悲しいですよね。たとえば子どもが欲しいのに産めないなんてことになれば、がんばってきた選手時代を自分自身が認められなくなってしまう。
スポーツ選手に限らず、若い女性の無理なダイエットによる摂食障害の患者数、全然減りませんね。危険な考えだということが世の中に広まるといいなと思います。
10代半ばまでは親のフォローが大切
――アスリートの目線で、どんな情報があるとよいと思いますか?
選手時代、コーチに生理のときは伝えていました。優しくしてほしいわけじゃなくて、今は動きが悪いけれど、生理が終わればまた動けるようになるとわかれば、トレーニングのスケジューリングがしやすいと思うので。もし試合と重なることがあっても、じゃあ淡い色の衣装は避けようか、みたいなことを話せるようになるので。自分の体の状況を知ってもらわないと、無理してケガにつながるかもしれないですから。
私自身はコーチが男性でも言える関係でしたが、言いづらい人もいるでしょうし、コーチとは別の角度からサポートできる女性がいることが大事かもしれません。私が所属していたスポーツクラブ(邦和スポーツランド)では、先生と選手である子どもたちと親を集めて、レディースクリニックの方を呼んで、生理について家庭でどうフォローするか、生理の仕組みを伝える講習を開いています。10代半ばまでは親のフォローが大切です。
自分だけで抱え込むより周りの人と共有できれば
審美性を問われるスポーツに関しては、成長することが悪という考えがどこかにあって、極めようとするとどこかに犠牲が出てしまう……私みたいに体調を崩す選手が出てきてほしくないですし、世の中の認識も変わらなきゃだめだなと思い、積極的に発信を始めました。
――発信後、周囲の反響はいかがでしたか?
生理について話したことが記事になったとき、男性の友人からも「恥ずかしながら全然知らなかった」と言われました。日本ではオブラートに包んで話しますが、生理があるから子どもが生まれるわけだし、あって当たり前のものなので、オープンになればいいと思います。
以前、アイスショーの楽屋で、「なんで生理前ってあんなに食べたくなるんだろうね」とスケーター同士で話したことがあったんです。みんなもそうなんだって安心できるし、自分だけで抱え込むより周りの人と共有できるといいですね。