質疑応答の第一声は「説明会までに何でこんなに時間かかったのか?」
校長からは生徒の心のケアの観点からカウンセリングの場を設けることや、準奈さんのイジメ被害について、生徒と保護者に調査アンケートを行うことが報告された。約15分ほどで学校側の説明は終わり、保護者らの質疑応答の時間となった。
最初にマイクを握ったのは、2年生の父親だ。「説明会になるまでに何でこんなに時間がかかったのでしょうか。うちの子どももかなり不安だったんですけども。何も連絡がないということで親としてもすごく心配していました」と質問すると、校長はこう説明した。
「先ほど学校が調査した内容と、ご遺族の意向を踏まえまして、教育委員会が3月の段階で公表しないと判断したというのが一つ大きな理由でございます。その後も話し合い、あるいは要望を受けてきてはおりましたが、保護者会で説明した上でないと、(再)調査はやはり調べることができないというふうに考えておりました。この度、ご遺族の意向が何回かあったことを踏まえまして、教育委員会と相談した上で説明会を実施し、調査をするという運びにした次第でございます」
「学校であのように亡くなったら、イジメが理由と思うのが普通」
2年生の別の父親からは、準奈さんが「死ね キモい」と書かれた手紙を複数回も下駄箱に置かれるイジメを受けていたにも関わらず、「なぜ(これまで)調査もしないで何も出てこなかったと教育委員会に報告したのか」と指摘されると、校長は「はっきりとしたいわゆるイジメとの因果関係については、特定できなかったというふうに捉えている」と、答えた。その説明に納得できない保護者は、
「学校であのように亡くなってイジメが原因じゃないという理由はどこにあるんでしょうか。『少なからずイジメも理由になったんじゃないか』というふうに思うのが普通だと思うんですけど。調査はしないといけないんじゃないんですかね。3月、その頃から情報が欲しいとみんな言っているのに、一切情報を出さない。インターネットで(騒ぎが)あったから急に(保護者説明会を)やっているような状況じゃないですか。ちょっと対応がおかしいと思うんですけど」(2年生の保護者)
会場から拍手が沸き上がる。
「はい。そういうことのご指摘もありますが、やはりご遺族のご意向に沿い、そして今回の件について、学校としてもまず『事実を明らかにする』という見地からも、ぜひ(再)調査をしていくというふうに考えております」(校長)
遅きに失した保護者説明会は、学校の抱えている多くの問題を浮き彫りにさせる場となっていった。#5では、怒号や涙する保護者らの切実な声が飛び交った質疑応答を詳報する。
【悩みを抱えた時の相談窓口】
「日本いのちの電話」
▽ナビダイヤル「0570-783-556」午前10時~午後10時
▽フリーダイヤル「0120-783-556」毎日:午後4時~午後9時、毎月10日:午前8時~翌日午前8時
◆
10月9日(土)21時からの「文春オンラインTV」では本件で取り上げられた保護者説明会での音声を公開する。
◆◆◆
「文春オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレス、または「文春くん公式」ツイッターのDMまで情報をお寄せ下さい。
sbdigital@bunshun.co.jp
https://twitter.com/bunshunho2386
文藝春秋が提供する有料記事は「Yahoo!ニュース」「週刊文春デジタル」「LINE NEWS」でお読みいただけます。
※アカウントの登録や購入についてのご質問は、各サイトのお問い合わせ窓口にご連絡ください。
その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。