今年2月12日の朝7時50分。山形県酒田市立第一中学校に通う中学1年生(当時)の石澤準奈さん(13)が、多くの生徒が登校するなかで校舎4階から飛び降りて亡くなった。「文春オンライン」取材班が現地で取材を進めると、準奈さんの死後、下駄箱に「死ね」「キモい」と書かれた手紙が置かれ続けていたことや、イジメに関するアンケートが学校によって改ざんされていたことが判明した(#1#3)。取材班は現校長、教頭、学年主任、教育委員会が出席した保護者説明会の様子を取材した。(続報全2回の2回目/前編#4を読む

※本記事ではご両親の許可を得た上で、準奈さんの実名と写真を掲載しています。編集部も、準奈さんの死の真相解明の一助になることを願い、可能な限り事実に忠実なかたちで伝えるべきだと考え、実名と写真の掲載を決断しました。

亡くなった石澤準奈(せつな)さん

◆◆◆

保護者は怒りを露わに…「これは『死ね』っていう脅迫ですよね」

 準奈さんが亡くなって7カ月後の9月17日。学校が拒み続けていた保護者説明会が、中学校の体育館で19時から始まった。説明会には平日にもかかわらず300名を超える保護者らが参加した。

ADVERTISEMENT

 校長の説明中は静寂が流れていた体育館だったが、質疑応答となると、保護者の鬱屈した思いが一気にヒートアップした。準奈さんのイジメ被害を担任、学年主任、教頭、前校長が把握していた上で、加害者生徒への指導が行われていなかった点について、1年生の父親は怒りを露わにする。

「(イジメを)把握されていたにもかかわらず、その後(悪口が書かれた)メモが入ってないからそこで終わりだと。これは脅迫ですよね。『死ね』っていう脅迫ですよね。彼女に対して。保護者の方にも何ら説明もない、連絡もしない。これ、隠蔽と言わずして何ていうんですかね。保護者の方の気持ちになってみて考えていただけませんか。自分の息子の下駄箱に『キモい』『死ね』だのって入れられたら、私だったらどんなことしても犯人を探しますよ」(1年生の保護者)

「はい。そういうことに関しまして、本当に時期が遅れましたが、調査をこれからさせていただこうと考えております」(校長)

準奈さんはこの校舎4階から昇降口側へ身を投げた ©️文藝春秋

保護者説明会の遅れは「加害者証拠の隠滅の時間稼ぎに過ぎない」

「この2月12日に自殺した準奈ちゃんが無念の思いで、覚悟を持ってこの学校の4階から飛び降りた。どんな思いだったのでしょう。特定の子に対するイジメ行為と思われるような行為が止まった時点で、そのイジメはもう終了という認識なんでしょうか? 私からすると、(保護者説明会を遅らせたのは)加害者とされるような人間たちに隠蔽、口裏合わせ、証拠の隠滅…その時間稼ぎをさせたに過ぎないと思うんですよ。これから調査してもおそらくLINEの中身は全て消去。警察じゃないので、消したアプリの中身まで確認はできないですよね。今頃、後ろを向いてベロ出していますよ。『バレねえから大丈夫だ。調査しねえぞ。じゃあ次は誰のことやってやろうか』って、狙っていますよ」(前出の1年生の保護者)