岸田さんの社会主義的な側面が強く見えてくるようになってきました
その高市さん、月刊「Hanada」で岸田さんと同じく金融課税の強化を主張したものの、こっちはこっちで盛大に馬鹿にされてしまい、しめやかに「物価安定目標2%達成までは、現実的には増税は難しい」とラジオで無事に軌道修正。よくやった、ニッポン放送。しかし、そもそも高市さんもアベノミクスの後継を宣言したのに金融課税の強化で3000億円の財源だと豪語し、岸田さんも総理の方針として打ち出したもんだから、相場では最大風速で11兆円ほど吹き飛んだってのはどう責任を取るつもりなんでしょうか。
それ以降も岸田さんの国家運営に関する発言は沢山流れてくるわけなんですが、つまるところ、岸田さんはみんなの意見もよく聞いた結果、国内の貧富の格差の解消を目指す経済政策を追求する、という点で非常に左派的、社会主義的な側面がとても強く見えてくるようになってきました。社会主義者は優しい顔つきでやってくる、という過去の事例をそのまま踏襲してしまうのでありましょうか。
大きくて強い国家が、各種プロジェクトを主導して国富増大、国際競争力強化の産業政策を担うという、ある種の統制経済の方向に政策スライダーを動かし、上手くいったらみんなで豊かになれるけど、駄目だったらみんな一緒に貧乏になろうという上野千鶴子的世界観すらも感じさせるような脱成長経済方針なのかもしれません。
人の意見をよく聞くので優柔不断で総花的な綺麗事政治になりがち、との前評判のあった岸田文雄さんは、前任の菅義偉さんの失敗を反省して早期解散総選挙でスキャンダルが出る前に勢いのついた支持率で議席を守ろうという思い切りを披露しました。人間、立場が変わると性格も変わるのでしょうかねえ。ともかく岸田さんの英断によって解散総選挙は前倒しになり、一気に慌ただしくなってきました。
日本人全体を考えて、政治が責任を果たし生活が苦しい人たちにもちゃんと分配するよ、貧困層にも目配せは欠かさないよという岸田さんの政治家としての考えはよく分かります。ただ、であるならば、せめて解散総選挙をやる前に予算委員会を組んでコロナで傷ついた経済対策のための補正予算ぐらいは決めてから選挙をしてほしかった、というのは理想論に過ぎるのでしょうか。
そして、今日になって岸田文雄さん、いきなり「当面は金融課税の増税は行わない」って言い始めました。日和ってんじゃねえよ。人の話を聞き過ぎる総理、善人なんだか無能なんだかよく分かりませんなあ……。
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