1ページ目から読む
2/4ページ目

岸田文雄さんのいう「新しい資本主義」とは何なのか

 私が目指すのは、新しい資本主義の実現です。成長と分配の好循環と、コロナ後の新しい社会の開拓、これがコンセプトです。

 

 成長は引き続き極めて重要な政策テーマです。しかし、成長だけでその果実がしっかりと分配されなければ、消費や需要は盛り上がらず、次の成長も望めません。分配なくして次の成長はなしです。私は、成長と分配の好循環を実現し、国民が豊かに生活できる経済を作り上げていきます。

https://www.kantei.go.jp/jp/100_kishida/statement/2021/1004kaiken.html

 黒煙が上がっていますね。これはアベノミクスとの訣別を意味しますね。

 岸田文雄さんのいう「新しい資本主義」とは何なのか。謎は深まります。

 アベノミクスで目指した「トリクルダウン」は結果としてインチキだったわけですが、企業からすれば市場にジャブジャブお金が流れてくるので、それをアテにして人を雇うという動機が生まれました。長期にわたる安倍政権が穏やかな支持を集められたのも、「給料は上がらないけど、とりあえず仕事はある」ことで我が国経済での働き方の多様化と共にパソナ感ある竹中平蔵路線が続いていき、企業や自治体は3倍の人件費を払うけど人材派遣会社が盛大に中抜きをし、現場にははした金しか給料として行き渡らない日本独自の特徴ある経済が完成したわけであります。良かったね。

ADVERTISEMENT

 個人的には、派遣会社のピンハネ率を消費者金融に対する利息制限法なみに厳格管理したほうが、最終的に中間層に回るお金の額は多くなるような気がするんですけどね。

 なぜそういう議論にならないんですかね。不思議ですね。

初出邸する岸田総理 首相官邸ホームページより

来ましたね、税金つかみ取りのボーナスステージ

 ところが、岸田政権はそこではなく金融所得にメスを入れるでござるよ、これからは成長だけじゃなく分配も大事だよ、と言い始めたわけであります。え、そっち先にやるの。簡単に言えば、マネーが企業から家計へと移る政策を頑張るよという話でありまして、前述のアベノミクスの方針からすれば、ほぼ完全に経済政策の路線変更を企図したものだと言えます。ある意味で小泉純一郎・長期政権から旧民主党政権を挟んで直近の菅義偉政権まで続いてきた構造改革路線の事実上の終焉ぽい雰囲気が出たため、経済界も金融筋も総じてがっかりするのは当然のことです。

 さらに、コロナ経済対策では数十兆円規模という補正予算を「解散総選挙後に」組むよという流れになっており、上記の成長よりも分配という観点から見ますと、素敵なバラマキ政策を予告するような流れです。来ましたね、税金つかみ取りのボーナスステージ。今回はさすがに国民全員にいくら支給という形ではなく、子どものいる世帯に支給とか、求職者に支援金を出すとかいう路線になろうとは思いますが、要するにこれ、大きな政府へと政策をシフトする方向にいきます。