蝉が大合唱していた頃、メールが届いた。
「第2回女流ABEMAトーナメントのドラフト会議が行われ、6チームが次のように決定しました」
少しドキドキしながら下へスクロールした。
「チーム西山:上田初美女流四段、山口恵梨子女流二段」
将棋界では驚くと、なぜか決まって皆が皆「ひえ~!」という叫び声をあげる。
例に漏れることなく、私もその慣習に倣ったわけだが、メールを読んだ場所が外じゃなくてホントによかった。
ABEMAトーナメントと他の棋戦との大きな違い
ABEMAトーナメントとは、インターネットテレビとして知られている「ABEMA」にて放送される将棋トーナメントである。第4回ABEMAトーナメントが9月に終了したばかりだが、将棋を知らない方でも楽しめる番組で、毎回大変な盛り上がりを見せている。
ABEMAトーナメントは他の棋戦との大きな違いが2つある。
1つは持ち時間。
1人5分の持ち時間が最初に与えられ、1手指すごとに5秒が加算されていく方式を採用している。1手指すごとに一定の時間が加算されるシステムを「フィッシャールール」と言い、そのフィッシャールールと、5分という超早指しを組み合わせたのがABEMAトーナメントの持ち時間となる。
もう1つは団体戦であるということ。
第3回から将棋界初の団体戦と銘打ち、各リーダーがメンバー2名を指名し、3人1チームで力を合わせて戦っていく形式となった。
チーム西山が結成
今回はそれを女流棋士でも!ということで「第2回女流ABEMAトーナメント」の開催が告知され、このコラムが更新される頃には全チーム動画と、1試合目がABEMAプレミアムにて放送されているだろう。
かくして西山朋佳リーダーの指名を受け、恵梨子ちゃん(山口恵梨子女流二段)と3人のチームが結成された。
小学生の頃から知っている恵梨子ちゃんとは、気が付けば随分と長い付き合いになった。真面目で頑張り屋さんで優しくて、いつも誰かのために力を添えている。今回も積極的にいろいろと動いてチームを円滑にしてくれた。頼れる後輩である。
一方で、西山さんとはこれまでほとんど話したことがない。
「自分が公式戦で勝ったことがない相手を選んだ」という指名理由を聞き、面白い発想をする人だなと思った。
この春まで奨励会三段として戦っていたため、「西山朋佳」という女性がどのような人なのか、まだ謎のベールに包まれている。このトーナメントを通して、そのベールの中にある魅力を多くの方に知っていただきたい。