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プレゼンまがいの“退陣会見”
菅氏の退陣会見から具体的に見てみましょう。私が寂しく感じたのは、たとえばこうした発言です。
〈ワクチンは効く〉
〈6月は1日平均110万回、そして7月は150万回、8月は120万回、予想を上回るペースで進み、1億4000万回を超えました〉
こうした数字はほんらい、厚労省の広報担当などが発表すればよいものでしょう。それをあたかも製薬会社のPRマンのように、なぜか首相自身がプレゼンしてしまった。
おそらくそれは、先述した「コミュ力偏重主義」の裏返しです。菅氏自身は雄弁家ではなく、華麗な喋りで国民を魅了するのは難しい。
「それでも国民にアピールできる情報発信とはなんだろう。それは数字だ! 具体的な数字を列挙すれば、自分の実績が伝わるはずだ」
スライドでグラフまで示しながら語る姿は、ある意味で悲愴で、痛々しくも映りました。「続ける」のではなく「辞めてゆく」首相から、国民が聞きたかったのはそうした「成果報告」だったのでしょうか。