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選挙の投票用紙が「極上の書き味」問題…そのナゾすぎる正体とは?

2021/10/31

genre : ライフ, 社会

note

「ユポ」ってなんだ?

 一般的な袋の素材は、普通、ツルツルしていて透明ですが、無理やり引き延ばすとそこだけ白くなるのを見たことがないでしょうか。シートは引き延ばされると表面にとても小さな亀裂がたくさんでき、そこに光が乱反射して白く見えます。また同時にミクロの傷によってできた凹凸によって表面は紙に似た特性を持つようになります。

ビニールは普通、ツルツルして透明だが……
引っ張るとちょっと白っぽくなる。この現象を応用して出来るのが、投票用紙「ユポ」だ

 この現象を応用して、製造段階で引き延ばしたシートを丈夫なシートの表裏に貼り合わせて三層構造にしたものが合成紙ユポです。

「ユポ」を使ったノートやメモ帳は一般的な文具店で簡単に手に入る
ユポの表面にある小さな亀裂に、鉛筆の芯が適度に削られて磨り減るので、滑らかに、濃くはっきりと文字を書けるという

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 プラスチックシートであるユポの表面に鉛筆で書くことができるのはこのためです。その表面は滑りの良いプラスチックにミクロな凹凸を均一に並べたものですから、すべすべしていて鉛筆の滑りを損なうことなく、でも表面には小さな亀裂があって鉛筆の芯は適度に削られて磨り減るので、滑らかに、濃くはっきりと文字を書く事ができます。これが魅惑的な書き心地の正体です。