選挙になると、SNS上で文具ファンなど一部の人たちの間で話題になるのが、あの投票用紙。受付でちょっと大袈裟な機械から一枚ずつ取り出されて手渡される投票用紙は、妙にしっとりすべすべしたてざわりで、鉛筆で書いたときの滑らかな書き心地が印象に残っている人も少なくないと思います。

選挙と切っても切れないのが「投票用紙」だ ©iStock.com

 そもそもは10年ほど前のことだったと思います。投票用紙の書き心地の良さがタダモノではないというのが、Twitterでつぶやかれ、拡散されました。

 それ以来、選挙のたびにSNSでにわかに話題になるのが鉛筆と投票用紙。用紙の書き心地の感想や鉛筆の種類の報告(地域によって採用されているメーカーや銘柄が異なる)などがアップされるようになりました。投票に行こうという呼びかけのかわりに「あの投票用紙の書き心地を堪能しに行こう!」といった啓蒙的なコメントとして投稿されることも多くなりました。

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 また、前回の東京都知事選挙では、新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から、自分の鉛筆を持ち込むことが許可されたことで、自分のお気に入りの鉛筆を持ち込んで投票用紙との相性を楽しんだという投稿も増えました。

投票用紙の正体

選挙でお馴染み投票用紙。じつは紙ではない ©iStock.com

 この投票用紙は、「ユポ」という名で知られる合成紙で、実は紙ではありません。ポリプロピレンというプラスチックをシート状にしたもので、素材としては日用品のパッケージなどに使われている透明な袋とほぼ同じ材料です。