『ラストアイドル』はものすごくザックリいうと「勝ち抜きアイドル合戦」で、暫定アイドルグループに毎回一人挑戦者がやってくる。勝てば入れ替わりでグループに入れる。これで12月まで勝ち残ったメンバーでデビュー。
勝敗は、4人並んでる審査員のうちの一人が決める。合議とか何もないし、その一人も事前に決まってない。審査員が何人もいる意味ないじゃん。などというのもさらに意味がなくて、そういう番組なんだとしか言いようがない。
アイドルの“セレクションを見物”する番組であってアイドルを見ることは重視してない。今どきのテレビのバラエティならもっと出てくる女の子たちのドラマ(素顔とか裏話とか)に密着しそうなもんだけど、なんかすごいザッとしか紹介されない。
……いや、セレクションを見せるのですらない気もしてきた。スタジオで勝負の緊張感から生じるハプニング的なこと(今回は見守るメンバーがいきなり泣き出すとか)も、映しはするけど割とすぐ流されてしまう。判定もCMで引っ張ったりしない。最初に見た時は「えーっこれで終わるのかよ」とびっくりした。
でもこれ、審査員の立ち位置って重要かつ微妙。だって自分の判定ひとつで「アイドルになりたい女子の夢を断ち切る」って、いわば自分が番組を操れるわけだ。そりゃあもう恐ろしさとヨロコビが同時にある素晴らしい立場で、へんな判定したら炎上したりするし、しかしありきたりな判定するのもつまらんだろう。「自分独自の見方」みたいなものは誇示したかったりもするだろうし(審査員として出てくるのはタレントというより文化人枠の人たちだからなおさら)。
で、ちょうどこの時は、前回にプロインタビュアーの吉田豪の判定によって「番狂わせ的に勝ち上がって」「負けた子のファンが怒り狂って炎上した」「歌だけはうまいが天然ぽいぼけっとした沖縄の女の子」が、今回は挑戦を受ける側。挑戦者はため息の出るほど歌のヘタな美少女。審判(神判?)は中森明夫!
当然のように沖縄少女を選んでたが、それほどインパクトはなかった。中森明夫としては炎上するようなジャッジをしたかったろうなあ、ほんとは吉田豪の時に出て燃えたかったろうになあ、しかし中森明夫、なんか萎んでない? ……私にとって『ラストアイドル』は審査員を見る番組です。もっと審査員映して!
▼『ラストアイドル』
テレビ朝日 土 24:05〜24:30