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女性に性的暴行を加えたり、身体に異物を入れさせる動画が

「博士ルーム」では、女性を「奴隷」と呼び、写真や動画を公開する前の待機画面は「奴隷たちが待機中です」だった。動画は女性を性的暴行したものや、さらには、便器の水を飲ませたり、身体に虫などの異物を入れさせたりする姿などを撮影した映像もあったという。

 セキュリティが高いといわれるチャッティングアプリ「テレグラム」を利用し、まず会員を無料の「お試しチャット」で誘引。その後、「もっと刺激的な内容を」という宣伝文句とともに入場料を20万ウォン(約1万8000円)から最大150万ウォン(約14万7000万円)に設定していた。入場料は映像を製作する“支援金”と嘯き、仮想通貨で取引。チョは数億ウォン(約数千万円)を稼いでいた。

 被害者は確認されただけで74人ともいわれ、確かな数字は公になっていないが、14歳から18歳までの未成年者の被害者が相当数含まれていたことが判明している。

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チョ・ジュビン容疑者(当時、中央)。 「博士」という特別なニックネームをつけたのは、この犯罪では自分がトップであるという自信の表れ。支配欲、統制欲が高いとされる ©AFLO

組織的に運営されていた「ルーム」の実態

 チョは「博士ルーム」を組織的に運営していたとみなされている。組織は大雑把に「被害者誘引」、「性的搾取物の製作」、「性的搾取物の流布」、「映像収益金の管理」の4つに分かれており、まず、SNSに「モデルのお仕事」や「オンラインでのデートアルバイト募集」のような文言をアップし、問い合わせをしてきた女性に顔や手を撮影して送るように促した。

 写真が送られてくると、金銭をいったん振り込み、その後、採用契約書を作成するためと偽って連絡先を送らせた後、ハッキングや役所で働く“部下”を使って女性の詳細な身元を入手した。その後、性的な写真を撮らせ、これを拒絶されると、ネットに写真をばらまくなどと脅迫。生活費のために応募した被害者のひとりは、報復が怖くて両親には言えなかったと告白している。

 さらに女性たちのもとへ製作部隊を送り込み、性的に暴行するシーンなどを撮影。それらを有料会員に流していたのだ。情報漏洩を防ぐために会員にも身元を明らかにさせるという周到ぶりで、それでも博士ルームの会員数は重複している者も含めて1万5000名ほどいたといわれている。