10月14日、韓国の最高裁判所はデジタル性犯罪「n番ルーム」事件で「博士ルーム」を運営していたチョ・ジュビン(26歳)へ懲役42年を宣告、刑が確定した。
判決は、児童・青少年の性保護に関する法律違反、淫乱物を製作し配布及び犯罪団体を組織した疑いなどによるもの。10年間の身元公開、児童・青少年関連機関や障害者の福祉施設での就業制限、そして出所後30年間、位置追跡のための電子足輪を付着すること、1億ウォン(約980万円)あまりの追徴金なども科せられた。
残酷さが際立っていた、大規模なデジタル性犯罪事件
韓国でのデジタル性犯罪史上、懲役42年の実刑は前例がなく、ネット上では「ようやく被害者にも目が向けられた判決が出た」「いまだに加害者中心主義だ。量刑はまだ軽い」などの声が飛び交っていた。
「n番ルーム」は大規模なデジタル性犯罪事件であり、その中でも「博士ルーム」は残酷さが際立っていた。
事件が公になったのは昨年(2020年)3月。主犯格のチョ・ジュビンが逮捕され、犯罪の詳細が報じられると、韓国社会は騒然となった。
犯人の身元公開を求める声が高まり、3月25日、チョはソウル市内の警察署の正門で姿を晒した。悪びれる様子はまったくなく、「止められなかった悪魔の生き方を止めていただいて本当にありがとうございます」と言い放った。当時、プロファイラー(犯罪心理分析官)は、「まだ支配者を気取っている」と分析していた。
チョはソウル市郊外の短大で情報通信を専攻。成績は優秀で保育園でボランティア活動もしていたことが分かっている。
「n番ルーム」とは、サイバー上に作られた複数のチャットルームの総称で、創設したのはチョとは別の人物だ。2017年1月頃から存在し、19年2月頃には8つの秘密のルームが開設されており、チョは「博士ルーム」を2020年2月頃まで運営していた。ルームでは女性の性的写真や動画を流布し、いずれも有料会員制だった。