1ページ目から読む
4/4ページ目

海外では加重主義により懲役数百年、十数万年なども

 韓国ではn番ルーム事件を契機にデジタル性犯罪についての法改正と共に量刑についての論議も始まり、最高裁の量刑委員会は昨年末、デジタル性犯罪の量刑基準を最高懲役29年3カ月に引き上げることを決定していた。今回のチョへの懲役42年は、この新しい量刑基準に則ったものといわれている。

 ペ・サンフンソウルデジタル大学警察学科教授は今回の最高裁の判決は性犯罪における加重主義の先駆けとなったのではないかと話す。

「性犯罪事件においてもひとつひとつの量刑が軽すぎるのではないかといわれており、今回のチョ・ジュビンの場合は性犯罪において刑罰を合算する加重主義を補完するものになったのではないかと見ています」

ADVERTISEMENT

 海外ではこうした加重主義により懲役数百年、十数万年なども珍しくない。

チョ・ジュビン容疑者(当時) 支配しやすい被害者を選んでいた ©AFLO 

決して対岸の火事ではない

 チョ以外の「博士ルーム」の共犯者7人は、それぞれ懲役12年から17年、未成年者ひとりには長期で懲役10年、短期5年が確定し、有料会員だった2人についてもそれぞれ懲役7年と8年が確定している。

 また、n番ルームを最初に開設したムン・ヒョンウク(25歳)は控訴審で懲役34年が言い渡されており、最高裁の判決に注目が集っている。

 チョ・ジュビンへの懲役42年の意味について前出のイ教授は言う。

「懲役42年によってデジタル性犯罪が十分に抑えられるとはまったく思いませんが、この事件により、児童・青少年性犯罪において未成年者が保護されるべき対象となり、被害者にも目が向けられるきっかけになったと思います。性的同意年齢が16歳まで引き上げられたことの意味は大きいです」

 翻って日本の「性的同意年齢」は明治時代に制定されてから「13歳」のまま変わっていない。こうした議論はどこまで進んでいるのだろうか。デジタル社会にあってn番ルーム事件も決して対岸の火事ではない。