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面接の精度を下げる「心理的バイアス」

 なぜ、ふつうの面接(非構造的面接)はそこまで精度が低いのでしょうか。ここからは私の仮説ですが、それは人が人を見る際にはどうしてもさまざまな「心理的バイアス」が働いてしまうからです。「心理的バイアス」とは、言い換えれば「偏見」のことです。対象をまっすぐに見ることなく、自分の心の中の作用によって歪んで見てしまうことです。

 面接に関係のある心理的バイアスはさまざまなものがありますが、代表的なものをご紹介しましょう。

(1)確証バイアス

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 仮説や信念を検証する際に、自分がすでに持っている仮説を支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のことを「確証バイアス」といいます。「先入観」といってもよいかもしれません。たとえば、学校の成績が良い人に対して「勉強しか能がないガリ勉」「行動力が低く、おとなしくじっとしている人」「真面目で面白みのない人」という先入観があるのであれば、候補者が何を話しても前述の先入観に合致するものだけを拾って、「やっぱりこの人はガリ勉だ」と評価してしまうのです。

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(2)類似性効果

 人は、「自分と似ている人に好奇心を抱く」という強い心理的バイアスを持っています。これが「類似性効果」です。逆に「自分と似ていない人」を低く評価するともいえます。もし、面接官が学生時代に勉強を頑張って高い成績を取っていた人であれば、成績の良い人のことを好ましく思うでしょうが、大学教育の変化も伴って、昔の大学で学んだ中高年の人の中には、勉強を頑張ったという人は今よりは少ないはずです。そうなると、自分とは違う「成績の良い人」を無意識に疎ましく思う可能性があります。

(3)初頭効果

 よく「第一印象が重要」と言われますが、それは「初頭効果」があるからです。初頭効果とは、最初に与えられた情報が印象に残って長期記憶に引き継がれやすく、後の評価に影響を及ぼす現象のことです。面接の最初に見るのは、履歴書やエントリーシート、そして成績表などの面接の際の応募書類です。そこで「ほう、ここの大学なのか」「成績がとても良いじゃないか」などとの属性をみて生じた印象が後々まで残るということです。前述のように「成績が良いこと」にあまり良い印象を持っていない(無意識でしょうが)人が最初にこの人は学業の成績が良い人だという情報を得てしまうと、評価は低くブレてしまう可能性があります。