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中田久美前監督が初めて語った日本女子バレー「正セッター問題」《五輪後初インタビュー》

田代、宮下、佐藤、籾井…代表セッターをめぐる苦悩 中田久美独占インタビュー #3

2021/10/23

source : 文藝春秋

genre : スポーツ, 社会

レンタル移籍ではなく、世界で生き抜く選手が必要

――5年間の代表監督の経験を踏まえ、これからの人たちに提案することはありますか。

中田 代表を目指す選手は、日常から国際基準の目を養ってほしいですね。代表に選ばれてから国際基準に合わせるのではなく、常に世界レベルを意識し、所属チームでも練習から取り組んでほしいと思います。

 海外に移籍するのも選択肢のひとつとなる時代なのかな。イタリアで活躍する石川祐希選手(25)が男子バレーにプロ意識を持ち込みチームを変えたように、女子にもそんな選手が現れて欲しい。帰る場所が保証されたレンタル移籍ではなく、そこで本気で生き抜き、自身の商品価値を高める覚悟を持った選手です。それが今後の強い女子バレーに繋げることができれば、新しい風が吹く可能性もあります。ただ、海外のチームはプロ契約ですので、そこに育成は含まれません。チーム優勝に貢献したかどうか、コート内で結果を出せたか否かで次のシーズンのその選手の価値(年俸)が決まります。

選手に指示を出す中田久美前監督 ©JMPA

 強豪国の選手たちは、ナショナルシーズンが終わると、当たり前にプロとして世界のリーグに散らばり腕を磨きます。彼女たちは自分が商品だと知っているので、ストイックに日常を律し、自分の価値を高めています。腕一本で世界を渡り歩くタフさを持っている。そういう選手たちが結集し、ナショナルチームを作る国はやっぱり強いし、勝負の瀬戸際でも崩れない。

 そして自分がなぜ戦うのかという意味を自分に落とし込んで欲しい。そういう哲学がないと、勝負所で崩れてしまいかねません。

戦いを終えた中田久美前監督 ©文藝春秋

この悔しさは「社会課題を解決するためのエネルギー」に

――中田さんはこれからどんな活動を考えていますか。

中田 少し時間をかけて体調を整えながら今後を考えたいと思ってます。この5年間、たくさんの方々に応援していただき、メダルという結果で恩返しをしたかったのですが願いはかなわなかった。申し訳なさでいっぱいですが、その一方でこの5年間の経験は本当に貴重でした。東京五輪で味わった慙愧の念はいつか必ず逆噴射させ、社会課題を解決するためのエネルギーに変えていきたいと考えています。

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