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敗軍の将が語る、五輪敗退の“理由”

――五輪では何が足りなかったのでしょう。協会の嶋岡健治会長(72)が10月14日に行われた次期代表監督決定の記者会見の時に、「予想外の決勝進出で、帰国後の調整期間が短すぎた」と仰っていましたが。

中田 今考えれば、帰国後の隔離期間を厳しくしてしまったかなという反省があります。VNLが終わったのが6月末。五輪まで1か月もありません。帰国してすぐ2週間の隔離期間がありましたけど、私は女子バレーからコロナ患者を絶対に出してはいけないと考えていたので、隔離期間中に人に接しないように厳命しました。VNLのバブル方式、帰国して2週間の隔離生活で、選手は結果的に1か月半ほど不自由な生活を強いられることになりました。ワクチン注射も、VNLに出発する前に打てるよう協会に手配をお願いしていたのですがなかなか難しく、結局帰国してからでした。2回目を打てたのがオリンピック入村2日前。

ドミニカ共和国戦に敗れ、悔しさをにじませる選手たち ©JMPA

 大事な五輪の前に選手に気分転換する時間を作ってあげられなかったことや、五輪直前の最終調整が不十分だったことなど、原因をあげればキリがありません。でもどんな状況でも結果を残すチームが力のあるチームなんです。

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「そもそも出場しないというプランもありました」

――VNLで敢えて負けて、決勝ラウンドには進まず早めに帰国し、五輪に向け調整するというプランはなかったのですか。

中田 そもそも出場しないというプランもありました。ただ、コロナ禍で1年延期されたことでメンバーが大幅に変わり、試合をしながらチームを作っていかなければならないという事情もありました。それに選手にとって負けていい試合なんて一つもありません。コートに入ったら全力で戦うのが選手です。

 ただやはり、世界に勝つためのチーム作りは、現場の力だけでは限界があり、しかも時間がない中で「ONE TEAM」にする難しさを今回の五輪で改めて思い知らされました。それでも私はVNLでああいう戦い方をしてよかったと思っています。五輪で力を出さなければ意味はないと言われそうですが、次代を担う選手たちが自分たちのバレーを遂行できれば、世界に伍して戦えるという経験をしたことは大きかったと思います。