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国民を信じられないという気持ち

 ところが今回、結婚決定の正式発表をした際、加地隆治皇嗣職大夫は「眞子さまは中学生の頃から、身近な方々やご自身に対する誹謗中傷と感じられる情報を日常的に目になさり、精神的な負担を感じておられた」と話し、複雑性PTSDにつながるようないわゆる「トラウマ」が、前述のようにネット上で盛り上がっている時期からあったことを示唆した。

2021年、眞子さまのお誕生日に際してのご近影 宮内庁提供

 加地大夫はその「誹謗中傷と感じられる情報」を具体的には説明していないゆえ、何が問題だったのかははっきりとしない。しかし、テレビなどのマスメディアで何度も取りあげられ、ネット上で盛りあがりサブカルチャーのなかでも支持されていた眞子内親王も、ある種の「孤独」を感じていたのかもしれない。国民からの注目や期待に応える一方で、しかし批判や誹謗中傷と感じる情報を目にする。それは、皇室を離れたい、皇族の立場を離れたいという思いを強くさせたのではないだろうか。また、どこか国民を信じられないという気持ちを抱くことにもなったと考えられる。

マスメディアに対するやや不信感とも言える「お気持ち」

 2017年5月、国際基督教大学の同級生で法律事務所にパラリーガルとして勤務する、小室圭さんとの婚約準備を進めていることがNHKにスクープされ、その後に婚約内定が発表された。この時のマスメディアの報道は、小室圭さんの職業も、海の王子という経歴も、二人が留学に関する意見交換会で出会ったことも、好意的に報じていた。そこでは、新しい皇族のあり方にふさわしい存在として、天皇・皇后の初めての孫が皇族を巣立っていくかのように見られていた。もちろん、二人の婚約内定の記者会見も好意的に見られた。

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婚約内定記者会見での眞子さまと小室圭さん ©JMPA

 しかし同年、小室さんの母親のいわゆる金銭トラブルが「週刊女性」をはじめ週刊誌で報じられたことで事態は一変する。そして2018年2月6日には宮内庁は納采の儀などを含めた結婚に関係する儀式の延期を発表した。

 その際、眞子内親王と小室さんの「お気持ち」が発表されたが、そのなかには「昨年5月、予期せぬ時期に婚約報道がなされました。このことに私たちは困惑いたしましたが、結婚の意思を固めていたことから、曖昧な状態を長引かせない方がよいとの判断をし、当初の予定を大きく前倒しして婚約が内定した旨を発表することにいたしました」という文章に見えるように、NHKのスクープによって急ぎ婚約内定の公表をしなくてはならなくなったことなど、マスメディアに対するやや不信感とも言える「お気持ち」が込められていた。それは、中学生以来感じていた感情が噴出したとも見える。