同じく出遅れた駒澤は巻き返しに成功したが…
1区で16位となり、しかも15位の駒澤大とは19秒離れていた。追いつけそうだが、追いつくのは難しい差だ。2区で明治はさらに引き離され、優勝圏外へと去っていく。だが、忘れないで欲しい。明治の19秒前を走っていた駒澤は優勝したのだ。駒澤には巻き返す力があったが、明治にはなかったということだ。
山本監督は今季に入って、冷静に前回の箱根を振り返っている。
「全日本の勢いをもっと加速させて箱根につなぎたいと思っていたんですが、結果的に、僕が優勝を口にするのはまだ早かったということです。箱根は行けるんじゃないかと思っていた中で出遅れてしまい、選手も焦りが出てしまったのかもしれません。優勝を狙うほどの本当の力はまだついていなかったということです」
本当の力――。
今回の予選会で、明治には経験豊富な選手が揃っており、トップ通過する可能性を秘めている。期待されるのは下級生の突き上げであり、上級生と下級生の相乗効果が見られれば、明治は強い。
さて、週末の立川で、本当の力を垣間見ることが出来るだろうか。
名門・中大の復活は…?
予選会の首位を狙っているのは名門・中央大学も同様だ。優勝14回を誇る名門だが、2013年にシード権を失って以来、鳴かず飛ばず。かつて、マラソンの日本代表だった藤原正和氏が監督に就任して復活を図ってきたが、なかなかシード権に手が届かない。藤原監督が強調するのは「成功体験」だ。
「なかなか勝ち切れないレースが続いています。全日本、箱根でのシード権なり、予選会でもトップ通過できれば選手たちは自信をつけ、強い中大を再び作ってくれると思います」
今年6月に行われた全日本の関東予選では7位までの通過のところ5位。藤原監督は、
「チームとしては余力を残した状態での結果なので、力が上がってきている証だと思います」
と戦力の充実を感じていた。
私も長く中大を取材しているが、地力は確実に上がっている。あとは、「ブレイクスルー」のキッカケだけなのだ。今年は三浦拓朗、森凪也らの4年生が安定しており、トップ通過のチャンスは大いにある。加えて、日本選手権の5000mにも出場した吉居大和(2年)がどこまで復調しているかも気になるところだ。
明治と中央の古豪、どちらの学校が力を見せるのか、予選会の大きな注目点だ。