10月10日に行われた出雲駅伝が終わって、東洋大学の酒井俊幸監督はこんな言葉を漏らした。

「出雲で優勝した東京国際大は、箱根駅伝で明治と接戦を演じて、ギリギリ10位に入ってシード権を確保したんです。箱根で10位に入れば自動的に出雲駅伝の出場権を得られますからね。もしも箱根で明治が勝っていたら、今回の東京国際大の優勝はなかったんです。その意味では、運の強さを感じますよね」

ハッキリした「留学生頼みのチームからの脱却」

 調べてみると、2021年の箱根駅伝で10位の東京国際大と11位の明治大の差はわずか26秒。11時間以上も10人でタスキをつないでのこの差。ひとりあたり3秒もない。

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 この結果が、今季の駅伝シーズンの流れを変えた。東京国際大は出雲駅伝で初出場初優勝をつかみ、一躍主役へと躍り出た。出雲駅伝で2位だった青山学院大の原晋監督は、こういう見立てをしている。

出雲駅伝はヴィンセント擁する東国大が初出場初優勝 ©文藝春秋

「出雲の1区が終わった時点で、『あ、こりゃ東京国際だな』と思いましたよ。だって、このまま上位でつながれたら、アンカーにはヴィンセント君がいるんだから! もう、留学生頼みのチームじゃないのがハッキリしたので、11月7日に行われる全日本大学駅伝の本命も東京国際大でしょう。でも、青学としても黙っているわけにはいきません。距離が長く、人数が増えてくれば、ウチにもチャンスは出てきますからね」

 原監督は虎視眈々と巻き返しを図っているが、今週末の10月23日には、東京・立川で箱根駅伝予選会が行われる。

 予選会での注目は、「MARCH-青学」だ。

青学大の原晋監督 ©文藝春秋

 つまりは、本戦出場が決まっている青学大を除く4校、明大、中央大、立大、法大に注視したい。

年始の箱根ではスタートから出遅れた明大

 前回の箱根で東京国際大に10位を譲った明大は、前回大会で「優勝」を狙っていた。前哨戦ともいうべき全日本では終始上位でレースを進め、最終区で青学大を逆転して3位。レース後の会見で山本佑樹監督は、

「箱根では優勝を狙っていかなければいけないと思います」

 と話し、明治が歴史を塗り替える可能性を示唆していた。

 しかし、「M」は出遅れた。