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「新聞読んでる10代ほぼゼロ」という衝撃の調査を受けて

2021/10/26
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全トヨタ労連が立憲民主党を見限るのも仕方がない

 そして、日本を取り巻く経済環境は一変しており、いまや国内産業においては当面のエネルギー政策についてや、カーボンニュートラル(CN)、脱炭素社会に向けて、政治も社会も経済も産業も雇用も一気にシフトしなければならなくなりました。小泉進次郎さんや河野太郎さんが出てきて再生エネルギーは大事だよと旗を振るパフォーマンスだけでなく、足元のエネルギー調達で脱炭素は待ったなしで、再生エネルギーとして何に期待し、どうやってそれに見合った産業構造にしなければならないか考えていかなければなりません。

 前述の全トヨタ労連はまさに世界で戦う大正義トヨタ自動車を頂点とする、すそ野を入れれば800万人近い人々の生活を担う労働組合であることを考えると、LGBT法だ夫婦別姓だとハフポスト的「Jリベラル」の掲げるダイバーシティを政策の主眼に据えるような立憲民主党を支える必要さえも感じていないのではないかと思います。極論いうと、その政策は労働組合関係ないじゃん、左翼の反権力ってだけで。

 ダイバーシティは大事なことだけどそれで飯が喰えるわけでもなく、年金を含む社会保障をどうするのか、雇用政策、少子化対応と並んで大きな課題となったカーボンニュートラルを実現するために、もっとも国際経済の潮流に敏感な全トヨタ労連が一足先に立憲民主党を見限るのも仕方がないことなのかもしれません。

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「保守VS革新」という一軸の政治図式の終焉

 これらは、ある意味で、イデオロギー上の対立をもって成立してきた新聞業界と、それが支えてきた「保守VS革新」という一軸の政治図式の終焉を意味しているように感じます。実際に、政党支持率で見た場合に日本全体でも右派と目される維新の会の支持率が上昇し、大阪から近畿圏を中心とする地域政党という殻を破り、全国に支持者を集められるような政党へと脱皮する可能性も秘めています。

 一方、労働組合からの支持を失って党勢衰亡を隠し切れず、いまや公党としての地位さえも確保できなくなりそうな社会民主党(旧社会党)と同じように、イデオロギーを抜きにしていま足下の経済問題やカーボンニュートラルの対応に迫られる産業界は、革新を見捨てる怖れさえあります。