文春オンライン

「新聞読んでる10代ほぼゼロ」という衝撃の調査を受けて

2021/10/26
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若い人に投票を促すほど自民党が有利に

 左翼系野党の活動家や政治家は、若い人は現状に不満を持っているのだから、彼らの投票率を上げれば野党にとって有利だろうと思っている節があります。しかし、実際に起きていることは「若い人たちは概ねいまの生活に満足している」ゆえの現状追認で自民党支持の割合がとても高いという話になるので、無党派層掘り起こしで若い人に投票を促せば促すほど自民党が有利になってしまうという事態が進行しているわけですね。

 選挙の現場でも、労働組合の組織率が大幅に低下し、選挙実務を担ってくださるボランティアさんやサポーターさんの「高齢化」が問題になっています。公示前、仕事である候補者の事務所を訪問したところ、印刷したポスターの束を運ぼうとしてぎっくり腰を再発した高齢男性が入口で悶絶していて肩を貸したりしました。ジジイ無理すんなよと声を掛けたら候補者本人で、哀愁を漂わせます。

 連合など労働組合の皆さんは「若い人は労働組合に関心が無くてね」と頭をかいておられましたが、私の側から見ると若い人たちの働き方も変わり、しっかりした労働組合のある企業に勤める正社員による組合活動だけでは若い人との利害は一致しなくなっているように見えます。やはり不正規雇用の人たちやフリーランス、個人事業主のような多様な働き方の人たちの労働環境を守るために、連合は何ができるかを考えたほうがいいですよと言いたくなったけどやめました。なんせ、労働争議は「闘争」なもんでねえ。

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 いわば、政治的な活動は闘争を含むのであって、団結して労働者としての権利を勝ち取るのだという文脈で労働組合が左派系野党を支持し活動を支えるといっても、ここがいまや流動化してしまって身動きが取れなくなってしまっているのが実情なのではないでしょうか。

立憲民主党の支持率が冴えない理由

 一方で、すでに報じられましたが全トヨタ労連が自前出身の組織内議員でもある古本伸一郎さん(愛知11区・無所属)の支持を取りやめてしまい、衝撃が走りました。自民党など与党と対抗的な立憲民主党よりも政策実現を果たせる自民党や公明党、維新の会などへの明確なシフトを見せるなど、いままでの「保守VS革新」のような、新聞メディアや労働組合に支えられた「Jリベラル」勢力的野党の支持率が伸び悩んでいます。

 実際、次回投票意向先や政党別支持率で立憲民主党が冴えないままなのも、リベラル左派を代表する野党第一党としての立憲民主党に期待するというよりは、反自民党・反権力的な現状批判票の受け皿としての存在でしかなくなってしまったことの証左ではないかとも思うのです。なので、いまの自民党と公明党による岸田文雄政権があの体たらくであるあいだは、反自民票を取り込める野党候補一本化で選挙に勝つことはできても、立憲民主党や共産党を支持している国民は多数派にはならず、彼らの望み焦がれる政権交代にまでは到底至らない、というのが実情なのではないでしょうか。