この年は「優勝」という目標が薄れていました。首位とゲーム差もありましたし、CSであわよくば……と思っていた部分もあったかもしれません。でも、落合さんの退任発表で「優勝」という目標がグンと近づいてきた。やっぱり常に「優勝」という目標を持っていないと、勝つことはできないと思います。
――監督はもちろん、選手一人ひとりも「どうすれば優勝できるのか」を考えながらプレーしていたわけですね。
吉見 それを教えてくれたのが落合さんなんです。優勝するために144試合をどう戦うのか。前編でも触れましたが、落合さんが他の監督さんよりもすごいところは、選手たちを同じ方向に向かせてくれたこと。具体的に「どうやって?」と聞かれても、正直、うまく答えられないことも多いので、結局は落合さんと一緒に過ごさないとわからないことかもしれません。
子どもに「落合さんってどんな人だったの?」と聞かれたら…
――吉見さんは落合監督と出会って野球人生が変わったんですね。
吉見 プロに入ったきっかけも、故障していた僕を落合さんが「プロで1年リハビリさせればいい」と言って獲得してくれたからなんです。たぶん、落合さん以外、そんなことを言える監督さんはなかなかいないと思うんですよ。僕がプロでたくさん勝つことができたのは、間違いなく落合さんのおかげだと思っています。
――落合さんにどこかでもう一度、監督をやってほしいと思うことはありますか?
吉見 正直なことを言うと、去年、引退するときに「落合さん、どこかでまた監督やらないかなぁ?」と思っていたんですよ。引退試合のとき、「まだ俺、イケるんちゃうんか」と色気が出て……(笑)。まだ野球はやりたかったですし、落合さんがDeNAとかで監督をするなら拾ってもらおうかなと(笑)。まぁ、これは笑い話ですけどね。
――吉見さんがユニフォームを着て若い選手を指導する姿も早く見てみたいです。
吉見 引退したとき、指導者になりたいと思っていたのは事実ですが、ちょっと考え方が変わって、今は自分の子どもたちに時間を費やしたいと思っています。でも、来年、話が来たら引き受けているかも。「話が違うやん!」って思われちゃいますね(笑)。
――では最後に、吉見さんがお子さんに「落合さんってどんな人だったの?」と聞かれたら、なんて答えますか?
吉見 「ユニフォームを着ているときは無愛想だけど、脱いだら酒飲みのおっさん」ですね(笑)。僕は、落合さんがいたから今の自分があると思っていますし、本当に感謝しなければいけない存在です。
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